自民党保守系議員からなる「日本の尊厳と国益を護る会(護る会)」は18日、核武装する中国・ロシア・北朝鮮の脅威に対応するため、政府として「国家核抑止戦略」を策定するよう求める提言書を松野官房長官に手渡した。日本は「世界で最も危険な核の谷間」に位置しているとし、非核三原則の見直しも視野に入れつつ、核抑止における日米間の協力を深化させるべきだと強調した。
G7サミットでは「核の脅威」に反対する機運が高まっている。提言では、核保有国のロシアが核兵器の使用の可能性をちらつかせながらウクライナに侵攻し、「核の威嚇」により他国は抑止に失敗したと言及。「21世紀の今、世界が核戦争のリスクに直面していることを認識させられた」と記した。
中国が日本を射程に収める中短距離ミサイルを大量に開発・配備していることや、ロシアと北朝鮮が核戦力の近代化を図っていることを挙げ、「我が国周辺では、核兵器使用のハードルが下がるような深刻な状況が顕在化している」と危機感を示した。
「21世紀の日本は、核武装した専制主義の独裁国家に直接向き合っており、世界で最も危険な核の谷間に位置していることを認識すべきである」と綴った。
対策として、「非核三原則の現実的な運用」を検討するよう提言した。2010年3月に岡田克也外相(当時)が「核搭載米艦船の一時寄港を認めないと日本の安全が守れないならば、その時の政権が命運をかけて決断し国民に説明すべきだ」と発言したことに触れ、「持ち込ませず」の原則については、現実的な見直しを行うべきだとした。
米軍の「核の傘」の信頼性を高めるため、現在の「拡大抑止協議」を閣僚級に格上げするとともに、日米間で核兵器の運用や訓練についても協力を深化させることが必要だとした。米国と共同で核兵器の運用に関する意思決定メカニズムを構築することにも言及した。
NATOの核共有を手本にしつつ、日本の地政学的環境を考慮した「日本版核共有」の議論を進めるべきだと主張した。議論ではタブーをなくし、現実味のある政策と戦略を練るよう求めた。
核攻撃を想定した国民保護の対策も挙がった。核シェルターはスイスやイスラエルが100%、欧米は70%〜80%となるなか、日本の整備はほぼ0%だ。この現状に「あまりにお粗末」として、対策を早急に取るよう求めた。
山田宏参院議員は「現実的な核抑止があってこそ、はじめて核軍縮や核廃絶への道が開ける」とツイートした。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。