萩生田経済産業相は11月30日、米国および欧州連合の代表とテレビ会議形式の貿易大臣会合を開催、非市場的な政策や慣行に連携して対処することや、世界貿易機構(WTO)の求心力強化について意見を交わした。市場経済を乱す中国の国営企業と補助金供与を念頭にしているとみられる。
萩生田経産相と米通商代表部(USTR)のタイ代表、欧州委員会のドンブロフスキス上級副委員長が日米欧三極貿易大臣会合を行い、共同声明を発表した。
3閣僚は、労働者とビジネスを弱体化させる非市場的政策や慣行を「グローバルな課題」と表現し、これに対処するために日米欧の3極で連携を刷新することで合意した。
共同声明では、非市場的措置による問題の特定や既存ツールの活用における協力の議論、問題となっている慣行に対処するための新たなツール作りの検討等を進めることで一致した。
3閣僚は、自由で公正なルールに基づく多角的貿易体制構築を進めるWTO 改革の重要性を強調。今後開催される第12回WTO閣僚会議(MC12)の成功に向けたコミットメントを共有していることを再確認した。
第12回WTO閣僚会議は11月29日から12月3日までスイス・ジュネーブで開催予定だったが、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の変異株「オミクロン」の流行により延期となった。日米EU三極貿易大臣会合も期間中に対面式で行われることが約束されていたが延期された。
萩生田経産相は「MC12の延期でWTOの求心力が失われることは避ける必要がある」と述べ、コロナ危機やデジタル化など課題に対処するためWTOを中核とした多角的貿易体制の維持、強化が不可欠だと述べた。
また「コロナ禍からの早期の経済回復を目指す中で国家の果たす役割は増大している」とし、このなかで「不公正で市場歪曲的な政策によって、世界の公平な競争環境や雇用が損なわれないよう、日米欧の三者が適切に対処していく必要がある」と強調した。
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