スイス金融機関UBSの調査によると、中国で製造業を営む企業の財務責任者の76%が、中共肺炎(新型コロナウイルス)のパンデミックで、生産の一部を中国から他国に移管する計画があるという。米フォックス・ビジネスが6月17日、伝えた。
報道によると、450人以上の企業幹部がUBSの調査に回答した。調査では、中国から他国への生産移転を考えているのは米企業だけではない。北アジアの企業の85%と、中国製造業の60%が、少なくとも生産ラインの一部を海外に移すことを計画していると答えた。この3つを合わせると、中国の年間2兆5000億ドル(約268兆円)に上る輸出額のうち、最大で30%にあたる7500億ドル(約80兆4285億円)が他国に移される可能性がある。
調査チームを率いたUBSアナリストのキース・パーカー(Keith Parker)氏は、「世界の輸出に占める中国のシェアは2000年以降、約10%増えて、14%に達した。米国、ドイツ、日本のシェアを大きく上回った。今後、バランスの再調整が起きるだろう」との見方を示した。
中国湖北省武漢市で中共肺炎が発生してから、全世界ですでに800万人以上の人が感染した。「世界の工場」と呼ばれている中国では、都市封鎖や外出禁止措置で工場の操業停止が続いたため、グローバル・サプライチェーンが寸断された。各国の製造業は、「中国一極」や「中国依存」の見直しを余儀なくされた。
パンデミックが起きる前、中国はマスクや検査キットなどの医療品の世界最大生産国だけでなく、電子機器、アパレルなどの生産大国でもあった。
UBSの調査を受けた企業の中で、ヘルスケア企業の92%と消費者向け主要企業の89%が、すでに中国から生産を移管した、あるいは生産移管を計画していると回答した。これは、技術系企業の80%、一般消費財企業の57%などと比べて高いことがわかる。
調査対象となった米企業の82%は、米国内に生産を回帰することを検討しているが、同時にカナダ(米企業の38%)、日本(同29%)、メキシコ(同23%)などで工場を建設することも考えているという。
UBSの調査では、北アジアの企業と中国企業にとって、日本が移転先として最も好まれている。日本に次いで、ベトナムと米国も人気だという。
(翻訳編集・張哲)
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