外国株投資を締め付け 過去最大の資金流出に中共が危機感

2026/05/30
更新: 2026/05/30

ブルームバーグは5月26日、昨年中国共産党(中共)の資本規制を回避して海外に流出した資金が推計1兆400億ドルに達し、過去最高を更新したと報じた。

こうした資金流出に、中共当局は危機感を強めている。証券監督管理委員会(証監会)などは5月22日、共同で方針を発表し、越境の証券・先物・基金業務に対して「2年間の集中整理」を行うとした。

具体的には、証券会社にアプリの配信停止、中国本土向けサービスや技術サポートの停止、本土顧客の新規購入や資本増強の禁止などを求めている。

また、証監会は香港の富途証券、長橋証券、シンガポールの老虎証券の3社について、中国本土で「無許可営業」を行ったと指摘した。3社に対して合計3億3千万ドルの罰金を科し、不正所得を没収するとした。

多くの中国本土の投資家は、これら3社の越境証券会社を通じて香港株口座を開設し、アメリカ株の購入やオプション取引などを行ってきた。新たな規制の下では、既存の本土顧客は「売却のみ可能で、新規購入はできない」となった。

台湾の財経専門家、黄世聡氏は、中共は投資家が海外市場に資金を向けることを望んでいないと分析する。

黄氏は次のように述べた。

「ここ数年、アメリカ株の投資収益率は中国株式市場よりも優位性があった。そのため、多くの資金がさまざまな方法で米国株に投資しようとしてきた。アメリカ株に投資することは、ある意味では米産業の発展を支えることにもなります。現在の米中対立の状況において、中共当局としては、自らが『敵対的』と見なす企業を中国資金が支えることを、当然認められないのだと思う」

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、当局の主な狙いは、富裕層による資金流出ルートを断つことにあるとみている。

謝氏は「これは主に、富裕層、企業経営者、芸能人、さらには中共高官やその子弟、高官本人に影響するものだ。実際に大量の資金を外貨に換え、海外へ移すことができるのは、こうした人々だ」と説明した。

また、「今回、その資金逃避のルートの一つが中共によって断たれたことになる。彼らへの影響は比較的大きい。一方、一般の庶民にとっては、年間5万ドルの外貨両替枠すら使い切れない人も多いはずだ」と付け加えた。

中国本土の動きと並行して、香港証券先物委員会も本土投資家の口座に対する措置を発表した。たとえ投資額が年間5万ドルの外貨両替枠内であっても、その資金が中国本土由来ではないことを証明する必要があるという。

5月27日には、複数の中国本土のネットユーザーが、香港のHSBCでは従来のように自分で投資口座を開設できなくなったと投稿した。

香港は、中国本土から世界市場へつながる重要な窓口である。近年、中国本土の住民や企業、中共高官らは香港を通じた越境資産管理を拡大してきた。昨年、香港を通じた越境資産管理の規模は2兆9500億ドルに達し、世界最大規模となった。そのうち約6割の資金が中国本土から流入したとされる。

黄氏は、資金流出は人心の動きを映していると指摘する。

「よく『お金が向かう先に、人の心も向かう』と言っている。もし多額の資金をアメリカ株式市場に投じているなら、実際に米中間で衝突が起きた場合、心理的にも、必ずしも全面的に中国を支持するとは限らないだろう」

新たな取り締まりにより、中国人がアメリカ株を購入することはさらに難しくなる。一方、多くの国ではアメリカ株の購入は容易で、合法的かつ自由に行える。では、なぜ中国人にはそれが認められないのか。

謝氏は「一般の人は、自分で稼いだお金は自分のものだと考える。他の国では、それは何の問題もない。どこに使うかは本人の権利だ。しかし、中国人だけはその権利を持っていない」と語った。

同氏によると、中共は通貨や為替レートを操作することができる。その結果、権力層が利益を得る一方で、庶民は経済的負担を背負わされる。

また、「さらに中共は人民元の自由な兌換を認めていない。現在は年間5万ドルの外貨両替枠に制限しているだけで、送金しようとすれば、さまざまな確認や制限を課してくる。中共の目には、それは個人のお金ではなく、中共政府の管理下にある資金なのだ」と指摘した。

黄氏は、当局の措置は短期的には効果を上げる可能性があるとしながらも、中長期的な効果についてはなお観察が必要だと指摘する。証券会社や関連業者は今後、何らかの対応策を打ち出し、資金流出を助ける方法を模索し続ける可能性があるためだ。