拡大する香港デモ  本土境界付近で展開 波及効果を期待

2019/07/15
更新: 2019/07/15

香港では「逃亡犯条例」改正案反対デモが新たな動きを見せている。先週末、大陸からの観光客が多い地域でデモ活動を行い、簡体字(中国大陸で使われる文字)のビラを配布し演説を行った。海外メディアは「参加者は中国当局による報道規制を突破し、この動きを中国本土へ広めようとしている」と伝えた。

週末の7月13、14日にデモ活動が行われた新界区の上水と沙田は大陸からの観光客が多く、かつて中国人による商品の買い占めによって対立が起きた場所でもある。ここでは小冊子を配るとともに中国大陸の言葉である「普通語」で人々に呼びかけるという。

デモ参加者の妮珂さんは7月7日の西九龍駅のデモにも参加しビラの配布を行った。そこで彼女は香港で起きていることを大陸からの観光客に伝えた。ほとんどの人が熱心に話を聞いたという。

ロイター通信によれば中国では過去1カ月間、香港での抗議活動に関する報道が厳しく規制され、一般市民はこの問題を知らされていない。デモ主催者の香港民間人権陣線の指導者は観光地でデモを行う意義について、「香港で事実を知った観光客が大陸に情報を持ち帰ることで香港と中国の民主主義が守られる」と述べている。

アメリカで人権活動を展開する謝中之氏もこの方法について「われわれは中華民族の子孫であり、マルクスの子孫ではない。大陸で民主、自由、人権、法治がなくなれば香港に未来はない。中国大陸に情報を伝えることは必ず両者の益になるはずだ」と、デモを支持する意見を述べた。

近年、香港の若者の多くは大陸と距離を置き、天安門事件の追悼式典にも参加しなくなっていたが、今回の出来事で態度を変化させている。妮珂さんによれば若者の団結は固く、すでに外国籍を持つ若者も積極的にデモに参加しているという。

反対派のデモに参加する学生の多くは97年の香港返還時はまだ子どもだったが、象徴としてイギリス植民地時代の旗をかかげている。香港の人々の多くは植民地時代の経済的繁栄だけでなく、返還後に失った自由を懐かしんでいる。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連特集: