台湾の行政院主計総処(日本の総務省統計局にあたる)が4月6日に発表した「国情統計通報」(人口や経済規模などの国情に関する統計調査報告)によると、2015年に海外へ渡航した台湾人が1,318万人と過去最高を記録し、前年比で11.3%増加したことが分かった。また、VISAカードの調査によると、台湾人の今年の海外旅行先トップ3は順に、日本、中国、韓国になるとみられている。
台湾人の海外旅行者数はここ数年で大幅に増加した。台湾国営通信社の中央社や主計総処、交通部観光局などの統計のいずれも、同国の海外渡航者数が10年から6年連続で増加していることを示しており、現在台湾が海外旅行ブームに湧いていることがうかがえる。国内旅行も、15年の国内旅行客数は2億8,523万人で、過去最高の2億8,807万人を記録した14年にわずかに及ばなかったものの、国内の景勝地や国立公園、国立美術館や博物館といった主要な観光名所は依然として人気が高い。
主計総処の統計では、好調な台湾経済と個人所得の増加に伴って、台湾人1人当たりの名目GDPは11年から2万ドルを超えている。以前に比べ、生活の質の向上や旅行や趣味などの余暇活動をより重視するようになったため、関連する支出も増加傾向にある。
同統計では、14年と15年の個人消費全体の年間成長率がそれぞれ3.33%と2.28%だったのに対し、レジャー・余暇活動の支出は14年が前年比4.4%増の7302億新台湾ドル(約2兆4480億円)、15年が2.6%増の7490億新台湾ドル(約2兆5510億円)となり、レジャー関連の支出が2年連続で個人消費全体の成長率を上回ったことが明らかとなった。
また、VISAカードが2月に発表した世界各国の海外旅行の動向と旅行行動の調査報告「2015年VISA世界旅行意識調査」によると、台湾人海外旅行者の59%が感動を求めており、そのうち59%が異文化体験を、残りの42%が日常から離れてリラックスすることを目的としていることが明らかとなった。さらに、自由旅行が台湾観光客の主な旅行形態として定着したことも挙げられ、全体の5%が自由旅行を選択し、39%が団体旅行に参加、13%がオーダーメイド旅行を選択していた。
旅行費用について、台湾人が1回の旅行に使う金額が前回の旅行時より増加傾向にあることも明らかとなった。旅行総額の平均が1人当たり1367米ドル(約14万8000円)だったのに対し、次回の旅行では予算を約1割増の1501米ドル(約16万3000円)とするなど、海外旅行への出費をより惜しまなくなっていることがうかがえる。個人旅行者の場合はその傾向がさらに顕著で、旅行総額が1196米ドル(約12万3000円)だったのに対し、次回の予算は約2倍の2501米ドル(約27万2000円)まで増加している。
こうした海外旅行客にとって、インターネットが不可欠なツールとなっていることも明らかとなり、台湾人旅行者の9割近くがネットを通じて海外旅行計画を立てており、4人中3人がネットに質問事項を投稿して旅の情報を集めたと回答している。
台湾には親日家が多く、日本の商品は台湾のコンビニでも売られているほど人気だ。観光庁の訪日外国人消費動向(平成27年年次報告)によると、訪日外国人の旅行消費額は、中国に次いで台湾が2位となっており、台湾人旅行客に人気の商品は「医薬品・健康グッズ・トイレタリー、菓子類で、8割以上がドラッグストアを利用したという。
(翻訳編集・桜井信一)
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