【大紀元日本11月12日】共産党指導部の人事を決める一中全会、政府指導部の人事を話し合う二中全会と比べ、ずっと知名度が高い三中全会。新指導部の経済戦略が示される最初の機会として注目され、これまで多くの経済改革を打ち出してきた。
三中全会と言えば、多くの中国人は1978年に開催された第11期三中全会を思い浮かべる。この会議で文化大革命の精算と改革開放路線への転換が確定され、今日の改革開放路線の出発点となった。そして、1993年には「社会主義市場経済」体制が承認された。2003年は農村改革、2008年は景気刺激対策、それぞれを目玉とするなど三中全会は中国社会に大きな影響を与えてきた。
1978年の三中全会から35年。「かつてない大胆な改革を推進する」と今回の三中全会が宣伝されているが、市民の中で期待を寄せる人は少ない。これまでの改革は多くの「奇跡」をもたらしたと政府が主張しても、市民の目には違った「奇跡」が映った。
たとえば、日本国会に当たる全国人民代表大会と中国人民政治協商会議の委員の約4000人のうち、83人が1000億円以上の資産を持ち、平均資産は3350億円にも達する。一方、都市部に住む労働者の年間平均収入は70万円である。
また、100件もの多数のマンションを不正に取得する「不動産幹部」がいる一方、市民は多額の住宅ローンを組み、「房奴」(不動産の奴隷)に成り下がっている。
一回の入院で300万元(約4900万円)かかっても全額国費で負担する幹部もいれば、金がなくて自らの手で壊死した足を切断した市民もいる。まさに現代社会の「奇跡」だ。当初、_deng_小平氏は「先に豊かになれる人が豊かになり、豊かになった人は他の人も豊かになれるように助ける」と唱え、格差は容認されたが、先に豊になった人は誰も貧しい人に振り向いていない。平等を最大の売りにした社会主義社会では、改革とともに拡大してきた不平等と貧富の差で市民は改革にしっぽを向けている。
米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、政治改革を行わない今回の三中全会は国民を今まで以上に苦しめることになると、指導部を様々な社会問題の「黒幕」呼ばわりした。
実際、ミニブログで社会問題について大胆な発言をしてきた人気ブロガーや、幹部の資産公開を求める市民活動家らが相次ぎ逮捕され、市民の自由な空間がますます狭まれた。
当局の高圧的な統治は海外メディアにも波及している。米通信社ブルームバーグが中国指導部の親族の資産に関して調べた自社の記事について、中国当局から国外追放されることを懸念し、「自己検閲」により配信を取りやめたと報じられた。
このごろ、PM2.5などで視界が悪くなる大気汚染問題が引き合いにだされ、現在の政治環境と社会環境はまさに「白昼の暗黒」と批判されている。中国当局は暖房設備に大量の石炭が使われていることが大気汚染の原因としている。この「石炭」に因んで、ブルームバーグは三中全会の前に掲載した記事で、「石炭の使用を禁止すればいい。しかし、中国当局はこの抜本的な改革を行わないだろう」と社会に諸問題をもたらす根源である政治体制にメスを入れない今回の改革を切り捨てた。
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