【大紀元日本12月8日】「日本は自らの手で日本生まれの『京都議定書』を絞め殺そうとしている」―メキシコのカンクンで開催されている国連気候変動枠組み条約・第16回締約国会議(COP16)で、京都議定書の延長に反対した日本について、人民日報、環球網など政府系メディアが日本を指弾する記事を掲載した。
人民日報12月4日付の記事は「日本の反対によって、これまで批准に消極的なカナダ、ロシア、オーストラリアが同調し、カンクン会議に影を落としかねない」と糾弾し、日本の責任論にまで発展した。同記事はさらにベネズエラ、イエメン代表のコメントとして「先進国の陰謀は決して実現されない」「京都議定書の履行に相談の余地はない」など強い口調で日本をけん制した。
環球網12月2日付の記事でも、「京都議定書の生誕地である日本は、中国を言い訳に責任逃れしようとしている」という専門家の言葉を引用し、「極めて不公平だ」と日本を非難した。
中国政府代表団副団長の黄恵康も「気に入った国際条約を遵守し、気に入らない国際条約を撤廃するなら、国際関係に不安定要素をもたらす」と発言し、「国際情勢が変化したことを理由に、議定書を撤廃したい国が存在するなら、すべての途上国に反対されるだろう」とし、「日本で締約したから、日本はなおさら遵守すべきだ」と途上国の代弁者になりきっている。
京都議定書の更新をめぐって、先進国と発展途上国は激しく対立している。日本をはじめとする先進国は、排出量が急増する新興国にも削減義務を負ってもらいたいと新ルールの制定を主張しているが、途上国は経済発展の足かせとなることを恐れ、「温暖化をもたらした先進国は今後も率先して削減を取り組むべき」として新ルールへの変更を拒んでいる。
2012年に満期となる議定書では、最大排出国の米中をはじめ、排出量の7割を占める国々が参加していない。排出量6%削減を約束した日本は、世界の排出権購入の20~30%を負担することになり、その大部分は中国から購入している。
一方、最大排出国の中国は、途上国として削減義務を負っておらず、排出権取引で10兆円と見られる利益を享受し、「温室効果ガスは宝の山だ」「中国は京都議定書の最大の勝者」と手放しで喜んでいる。排出権取引ビジネスのCDM(クリーン開発メカニズム)は、中国では「棚からぼた餅」のビジネスと呼ばれており、関連研究が盛んに行われている。また、ますます厳しくなる国連のCDMプロジェクトの審査に、国連を避けて関係国間で排出権取引のメカニズムを積極的に働きかけている。
京都協定の最大受益者である中国は、迫り来る京都協定の締切りに焦りを感じている。排出量世界最大の米中両国が協定に参加せず排出削減に貢献していない、という日本の延長反対の理由に対して、 中国代表団はCOP16で「米国はほかの国と同レベルの削減義務を負い、途上国は各自の国情に応じて自由意志に基づき削減義務を負う」と提案し、「これで日本の不満を解消できるはず」と話したという。 中国新聞網が5日付の記事で伝えた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。