中国、臓器移植に関する法的体制の実現はまだほど遠い

2006/04/13
更新: 2006/04/13

【大紀元日本4月13日】中国衛生部は3月27日、初めて臓器移植に関する管理条例『人体臓器移植管理暫定規定』を発布し、人体臓器の売買を禁止、医療機関で臓器移植の手術を行う際、必ずドナーの書面上の同意を受けなければならないと定めた。ドイチェ・ベレの報道では、中国臓器移植問題に詳しい専門家らの見解を取り上げ、新規定は法律上での欠如を補ったが、法整備がなされるまではまだ程遠いとみなしていると伝えた。

暫定条例は今年の7月1日から施行される。この 条例に基づき、医学と倫理学の角度から、臓器移植手術を行う医者や病院に対して資格認定を行う。湖北省武漢同済医科大学の臓器移植センターの陳忠華教授は、新しく定められた条例は中国臓器移植法制の欠如を補ったにもかかわらず、真正の立法との差ははるかに大きいと考えている。陳教授は、「今回発布された条例は、臓器移植にかかわる機関及び医者に対する資格認定などの問題、つまり、どんな人あるいはどんな医療機関が臓器移植の手術を行うことができるのかを解決しました。厳格に言えば、これはまだ立法というプロセスの中での非常に小さいステップである」と指摘した。

新条例の主旨は、倫理的な角度から移植の可能性を探るということである。条例は、医療機関が手術を行う前、必ずカルテを「人体臓器移植技術及び倫理委員会」に提出しなければならない、同時に人体臓器が合法な手段を通じて入手したと説明しなければならないと要求する。しかし、これは臓器移植に関する立法が進んでいる国と比較すれば、中国の新条例はまだかなり遅れている。

陳教授はまた、「新管理条例はまだ移植の供給源やドナーに関する問題を解決することができない。特に、臓器がどのような形で供給されたか、つまり親族による臓器の供給、ドナーを登録して脳死と認定された場合の臓器供給、あるいは心臓が止まった遺体からの臓器供給などについて具体的な指導内容がない。しかも、この条例はただ医療関係の業界内における一つの規制であり、他の業界、たとえば、司法界には拘束力もない」と加えた。

多くの国際人権団体は中国に対して、死刑犯から臓器を摘出し売買していることを強く非難している。人権団体の統計によれば、99%以上の移植用の臓器は死刑犯からのもので、親族から提供された臓器は1%にも満たさないという。イギリスのザ・インデペンデント紙は最近、中国では腎臓一つは50万人民元(約725万円)で、肝臓一つは130万人民元(約1,885万円)以上という価格で売られていると報道した。また報道によると、中国の数多くの病院の壁には、「腎臓」の二文字と携帯電話の電話番号を書かれている紙が張られている、そして、中国の法律がまだ不完全という隙間を利用して中国へ臓器移植の手術を受けに行く日本人がますます増えているという。

陳教授は長年にわたって、中国で臓器移植にかかわる立法を推進させてきた。陳教授は「われわれは、臓器移植を行うには必ず合法化・公開化・規制化・国際化という12文字のスタンスに遵守しなければならないと五年前にすでに提案しました。これを実現するために、立法上の保障、例えば、臓器ドナー提供法、臓器移植法、脳死法及び臓器移植倫理指導などを必要とします。これらの法律が整えられれば、その12文字のスタンスがはじめて実現できると考えます。」と述べた。

中国の臓器移植に関する法律及び実施が遅れていることに対して、陳教授は「主な理由はやはりまだ重視されていないというところにある。臓器移植法案は人大(人民代表大会)にとって重大な問題ではないようだ。中国は毎年臓器移植の手術を受ける人数は5,000人から10,000人があり、患者の人数を合わせて計算すれば、何十万人もいるわけだ。これは、中国のような人口の非常に多い国にとっては小さい問題で、だから、長い間に立法などに関することは無視された」と分析した。