中国の研究者と米国の研究者らは、中国で発熱などの症状を引き起こしているとみられる新たなダニ媒介ウイルスを発見した。研究チームはこの病原体を「エイジアンロングホーンティンクナイロウイルス(ALTNV)」と命名した。ナイロウイルス属に分類されるという。
研究は、中国・北京微生物・疫学研究所の「病原微生物生物安全国家重点実験室」の研究チームがまとめ、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した。米ミネソタ大学感染症研究・政策センターも研究内容を紹介している。
エイジアンロングホーンティンクナイロウイルスは、発熱や倦怠感、胃腸症状、血液検査の異常などを伴うインフルエンザ様の発熱疾患と関連している。大別班達ウイルス(DBV)と重複して感染した場合、重症化する可能性もあるという。
中国では近年、ダニに刺されたことによる感染症で死亡する事例が相次ぎ、毎年のように話題となっている。各地でダニによる死者が報告され、住民の間で不安が広がっている。
今回の研究は、ある「謎」がきっかけとなった。中国の一部地域では、発熱と血小板減少を伴う重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こす大別班達ウイルスへの感染が疑われる症状を示しながら、検査では陰性となる患者が約3割に上っていた。
この食い違いから、既知の病原体とは別の病原体が流行している可能性が浮上した。
研究チームは、ダニ媒介ウイルスの流行地域にある医療機関から、ダニに刺された患者の検体を採取。RNA解析やウイルス分離などを行い、原因となるウイルスを調べた。
ゲノム解析の結果、エイジアンロングホーンティンクナイロウイルスはナイロウイルス科ナイロウイルス属に分類された。他のナイロウイルス種とのアミノ酸配列の一致率は80.04%未満で、新種のウイルスであることを裏付ける結果となった。
計3163人の患者を検査したところ、10.4%でウイルスRNAまたは抗体が検出され、エイジアンロングホーンティンクナイロウイルスへの感染が確認された。これまでDBV検査で陰性だった患者に限ると、15.1%からエイジアンロングホーンティンクナイロウイルスが検出された。
また、中国15省で採取した4万7428匹のダニを調べたところ、1.3%からエイジアンロングホーンティンクナイロウイルスのRNAが検出された。特にフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)では検出率が1.8%と最も高かった。
実験では、フタトゲチマダニがマウスにエイジアンロングホーンティンクナイロウイルスを感染させる能力を持つことも確認された。
米農務省によると、フタトゲチマダニは米国でも21州と首都ワシントンで確認されている。
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