中国では、労働問題を訴えても解決に至らず、企業の利益が優先される現場が少なくない。そうした実態を示す事例が、中国メディアによって報じられた。
中国の電池工場で、健康診断前に従業員へ薬を飲ませ、鉛中毒の数値を隠していたことが明らかになった。「人の命を何だと思っているのか」と、怒りの声が広がっている。
問題の工場は、広西チワン族自治区にある電池メーカー。元従業員によると、会社は健康診断の1〜2か月前から「血液中の鉛を下げるため」として、薬を毎日飲むよう指示していたという。従わなければ出勤できない場合もあった。
この薬は本来、体内の鉛を排出するために使うものだが、検査前に使えば数値は一時的に下がる。そのため、実際には体に異常が出ていても、検査では「問題なし」として処理されていた。
つまり、健康診断で病気を見つけるどころか、会社が意図的に「異常が出ない状態」を作っていたことになる。
さらに内部関係者は、工場内の環境についても証言している。鉛の粉じんを外に出す設備を十分に動かさず、コスト削減を優先していたという。
地元当局は「従業員の訴えは事実」と認め、企業に再検査を指示したが、処分の有無については明らかにしていない。
問題の企業は2006年設立の大手電池グループ傘下で、「環境配慮」や「技術革新企業」などの表彰を受けてきたが、皮肉にもその看板とはかけ離れた実態が明らかになった。
なお、鉛中毒は職業病の中でも特に多いものの一つで、体内に過剰な鉛が取り込まれることで発症する。神経、血液、心臓や血管、生殖機能などに影響を及ぼし、深刻な後遺症を残すこともある。
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