異例のNATO約30か国大使の一斉訪日 深まる日本との関係と米欧の不協和音

2026/04/09
更新: 2026/04/09

NATO(北大西洋条約機構)の本部に駐在する約30か国の大使が、今月中旬に一斉に日本を訪問する方向で調整が進められているとNHKが9日報じた。外交の現場において、これほどの規模の集団訪問は極めて異例の事態である。

NATOは現在32か国が加盟する軍事同盟であり、日本はそのメンバーではない。それにもかかわらず加盟国のほぼ全大使が東京に足を運ぶ背景には、ここ数年の日本とNATOの急速な関係強化がある。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、当時の岸田首相は「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と警鐘を鳴らし、欧州の戦火をアジアの安全保障と直結させた。その後、2022年6月の日本の首相による初のNATO首脳会合出席、2023年7月の「日・NATO国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」締結、そして2025年1月の政府代表部の独立開設など、両者の関係は加速度的に深まっている。

今年に入ってからも、3月にシェケリンスカ事務次長が訪日して防衛産業の現場を視察し、4月には船越外務事務次官がNATO首席補佐官と協議を行うなど、活発な動きが続いている。

しかし、日本がNATOとの連携を深める一方で、NATO内部では亀裂も表面化している。8日、トランプ米大統領はホワイトハウスでNATOのルッテ事務総長と会談し、米国のイラン軍事作戦に対する同盟国の対応への不満を表明した。一部の加盟国が米軍機の領空通過や海軍部隊の派遣を拒否したためであり、トランプ氏はSNSで「NATOはわれわれが必要とした時にそこにいなかったし、再び必要になった時もそこにいないだろう」と強く批判している。ルッテ事務総長は「トランプ氏の言い分も理解できる」としつつも、「欧州の大多数」は協力的であったと述べている。

同盟内における米欧の足並みの乱れが垣間見える中、NATOは日本への期待をかつてないほど高めている。しかし、日本が事実上の準加盟国のような扱いになりつつある現状は、憲法9条に基づく限定的な集団的自衛権という制約との間に大きな矛盾を孕んでいる。加えて、防衛費増額が社会保障費との綱引きとなり、家計への負担としてのしかかる課題もある。約30か国の大使による一斉訪日は、世界が日本に何を求めているかを雄弁に語るものであり、日本社会はこれらの矛盾や課題に正面から向き合う時期に来ている。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。