防衛省が近く発表する2026年版『防衛白書』は、中国共産党を日本が直面する「最大の戦略的課題」と引き続き位置づけ、同盟国および価値観を共有する国々との安全保障協力の強化を通じ、抑止力と対処能力を高めることでインド太平洋地域の安定を維持する方針を打ち出す。この表現は、地域の安全保障環境の厳しさに対する日本政府の近年の認識を継続するものだ。
中共の軍事拡張と台湾海峡情勢に注目
複数の日本メディアが伝えたところによると、2026年版防衛白書の概要はすでに公表されている。白書は、中共が急速に軍事拡張を進めていることを踏まえ「同盟国・パートナー国との協力強化を通じた抑止力・対処力の向上」によって「地域の安定を確保する」と明記した。また、中共空母による日本周辺海域での活動が増加していること、および台湾周辺での大規模軍事演習が継続されていることにも言及している。
白書はとりわけ、2025年12月に中共戦闘機が自衛隊機に対してFCS(火器管制レーダー)を複数回照射した事案を取り上げ、日中間の軍事的接触リスクが高まっていることを示すものとして、地域の安全保障上の懸念が一段と増していると指摘した。
日本政府は近年、台湾海峡の平和と安定が日本の安全保障および国際社会にとって重大な意義を持つと繰り返し強調している。中共の軍事活動の範囲が拡大し続けるなか、日本は南西方面の防衛態勢の強化と、米国をはじめとするパートナー国との安全保障協力の深化を加速させている。
朝ロ軍事協力への懸念
中共の動向に加え、白書は北朝鮮とロシアの軍事協力の深化に対しても懸念を示した。この協力関係は中長期的に北朝鮮の軍事能力を向上させ、東北アジアの安全保障環境の不確実性をさらに高めるおそれがあると指摘している。
近年、朝ロ関係は急速に緊密化している。日本政府は、当該協力が通常兵器分野にとどまらず、ミサイル、衛星その他の軍事技術にまで及ぶ可能性があり、地域の安全保障環境に新たな課題をもたらすと危惧している。
無人機・AIを活用した現代戦の形態に着目
さらに2026年版白書には、未来の戦争形態の分析が新たに盛り込まれ、現代の戦場における無人機と人工知能(AI)の活用に重点が置かれた。
白書はロシア・ウクライナ戦争の教訓を引き、低コスト無人機の大量使用とAIによる情報処理・意思決定の高速化が現代戦の様相を変えつつあると指摘した。潜在的な長期紛争を念頭に、持続的な作戦遂行能力と後方支援体制の整備が不可欠であり、それが消耗戦における総合的な作戦効果の維持につながると白書は論じている。
日本政府は現在、安全保障戦略の見直しを進めており、2022年に策定した国家安全保障戦略など安保三文書について、急速に変化する安全保障環境に対応するため、今年中に改定を行う見通しだ。
防衛産業基盤と装備協力の強化
白書はまた、日本の防衛産業基盤の強化の重要性を強調した。同盟国および価値観を共有する国々と防衛装備品を共同で運用・維持することが、相互支援能力の向上と抑止力の強化につながると指摘している。
この方向性は、日本が近年進めてきた防衛装備品の輸出政策の見直しと一致する。日本政府は一部の防衛装備品に関する輸出規制を段階的に緩和しており、パートナー国との装備互通および産業協力の強化を通じ、共同作戦能力の向上と地域安全保障協力の深化を目指している。
白書解説の短編動画を初公開へ
防衛省は今年、安全保障問題に対する国民の理解を深めるため、防衛白書の内容を分かりやすく解説するショート動画と簡易版小冊子を初めて公開する予定だ。
防衛白書は日本の最も重要な国防政策文書の一つで、防衛省が毎年作成して閣議に提出する。国際安全保障情勢の評価、自衛隊の整備計画、防衛政策の重点課題を網羅しており、日本の安全保障戦略の方向性を読み解く重要な指標とされている。
政府の予定では、2026年版防衛白書は今夏、閣議に提出される見通しだ。
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