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日本 訪日客4千万人突破へ 中国警告でも過去最高・市場多様化進む

2025/12/18
更新: 2025/12/18

日本の観光業は2025年、歴史的な節目を迎えている。「台湾有事」をめぐって日中関係が緊張し、中共当局が日本渡航に対する警告を発したにもかかわらず、11月の訪日外国人は力強い増加を続け、年間で初めて4千万人を突破する見通しである。

日本政府観光局(JNTO)の最新統計によると、2025年の観光シーズンには顕著な伸びが見られ、1月から11月までの外国人旅行者数は3907万人に達した。これは、昨年の年間記録である3687万人を大きく上回る水準だ。

この増加の主因は、韓国、台湾、アメリカなどからの観光客の拡大にある。11月のデータでも同様の傾向がみられ、韓国、台湾、アメリカを含む19の市場で月間訪日者数がいずれも過去最高を更新した。円安に加え、紅葉シーズンの到来が世界中の旅行者を日本へと惹きつけたとみられている。

中国人観光客は鈍化も消費構造がシフト

他地域の力強い伸びとは対照的に、中国本土からの観光客は鈍化傾向を示している。11月の中国本土からの訪日客増加率はわずか3.0%にとどまり、10月の22.8%から大幅に減速した。主因は中国経済の低迷であるが、もう一つの要因として、高市早苗首相の「台湾有事」に関連する発言に対する中共の強い反発が挙げられる。中共当局は11月14日、「日本旅行を控えるように」との警告を発した。

それでも、中国からの訪日客は2025年1月から11月までの累計で前年比37.5%増の877万人に達しており、依然として重要な市場である。

オンライン旅行サイトの統計によれば、日本は依然として中国人旅行者にとって主要な渡航先の一つだ。しかし、観光客層や消費行動の構成には明確な変化が現れている。円安の影響で全体の訪日需要が高まり、訪日観光の総消費額は2019年比で43%増を記録した一方、中国人観光客の一人当たり消費額は30%増にとどまった。

専門家によれば、中国経済の低迷が続くなかで、アメリカや欧州といった高額な長距離旅行先は中国人にとって優先順位が下がっているという。一方で、日本の観光地で「オーバーツーリズム(観光過多)」を引き起こした中国人旅行者の波が落ち着いたことは、日本の観光産業の持続的な健全化に寄与しているとの見方もある。

旅行業アナリストの田中博史氏は『日経アジア』の取材に対し次のように述べている。

「ここ数年、日本の主要観光地はすでに収容能力の限界に達していた。中国人旅行者の急減は一部の小売業者に短期的な痛みをもたらすが、観光業界にとっては転換の好機でもある。日本は今、『観光客数の追求』から『一人当たり消費額の向上』や『観光の質の向上』へと舵を切りつつあり、これは日本の長期的発展にとって決して悪いことではない」

中共の「日本旅行控える」警告と自傷型制裁

市場アナリストたちは、中共が観光を外交の駆け引きに利用する行為は「相手を傷つけつつ、自らも損なう」ものであると指摘している。

アジア経済評論家の陳志強氏は『ウォール・ストリート・ジャーナル』の取材に次のように分析している。

「これは典型的な“自傷型制裁”だ。日本の観光産業チェーンでは、旅行代理店、個人ガイド、民泊、飲食店など多くが在日華人によって経営されている。中共の規制は、まず彼ら中国系起業家の生活を直撃しており、さらに重要なのは、彼らが得た利益の多くが中国国内での再消費や投資に回されている点だ。日本旅行を断つということは、外貨と資金の還流ルートを断ち切るに等しく、低迷する中国経済にとってはまさに追い打ちとなっている」

単一市場依存から脱却へ 観光の質向上が課題

中国人観光客市場が不安定化する一方で、韓国と台湾からの観光客が補完的に増加し、11月にはそれぞれ10%、11.1%の伸びを記録した。これにより日本の観光業全体の安定成長が支えられている。

日本政府観光局の村田茂樹局長は、今後さらに東南アジア、北米、欧州からの訪日客誘致を拡大し、特定市場への依存を減らしていく方針を示した。

12月のスキーシーズンと年末年始の祝祭シーズンを迎える中、日本が本格的に「訪日4千万人時代」に突入するのは、もはや確実である。

李言