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高市早苗新総理大臣 就任記者会見(全文)「決断と前進の内閣」

2025/10/22
更新: 2025/10/22

第104代内閣総理大臣に就任した高市早苗氏は、首相官邸で就任後初の記者会見を行った。高市総理は新内閣を「決断と前進の内閣」と命名し、「国家国民のためであるならば、決してあきらめない」と所信を表明した。

最優先課題の物価高対策として、ガソリン暫定税率の速やかな廃止や「103万円の壁」の引き上げに取り組む方針を明言。一方、自民党が参院選で掲げた給付金は実施しない考えを示した。

外交面ではトランプ米大統領との早期会談に意欲を見せ、日米同盟の強化を訴えた。安全保障政策では「安保三文書」の前倒し改定を進める考えを表明。

また、日本維新の会との連立政権合意に感謝を述べつつ、少数与党での政権運営となることについては、早期の衆院解散を否定し、経済対策に全力を挙げる姿勢を強調した。以下は、記者会見の冒頭発言と質疑応答の全文である。

冒頭発言

皆様、こんばんは。第104代内閣総理大臣に任命されました高市早苗でございます。

本日、北海道白老町の農場におきまして、簡易検査の結果、鳥インフルエンザの疑い事例が確認され現在北海道がPCR検査を実施中でございます。新内閣におきましても関係各省道庁等が緊密に連携をし、高い緊張感を持ってこの対応に万全を期す考えでございます。

 さて、まず新内閣が成立するまでに時間を要したことにつきまして国民の皆様に心よりお詫びを申し上げます。

ここからは国家国民のため全力で変化を恐れず果敢に働いてまいります。そのための内閣を本日作り上げました。国家国民のため結果を出していく強い日本をつくるため絶対に諦めない、そう決意をいたしております。

一度ならずも二度破れても自民党総裁になることを諦めませんでした。強い日本経済をつくり上げ外交安全保障で日本の国益を守り抜く、私には明確な決意がございました。

厳しい野党時代も含め26年間の長きにわたる公明党の皆様のご協力に改めて深く感謝を申し上げます。

しかし政治の安定なくして力強い経済政策も力強い外交安全保障政策も実現していくことはできません。日本を再起させたいとの思いで政策合意までたどり着くことができた、この日本維新の会の同志の皆様に感謝を申し上げます。そして精力的に協議を行ってくださいました全ての関係者の皆様に心より敬意を表します。物価高対策、首都機能のバックアップ体制、また社会保障改革、そして憲法改正、両党の政策合意を基礎にともに手を携えて、政策実現に取り組んでまいります。

 また、身を切る改革としての議員定数削減にも合意をいたしました。私どもの内閣といたしましても、国会議員から任命をされる私を含む総理大臣を含む閣僚等の給与につきましては、議員歳費を超える閣僚等としての給与を受け取らない法改正に取り組む所存でございます。

さらに私は、全て国家国民のため、多数を形成し政治を安定させるその思いを共有する全ての野党の皆様に、引き続き協力を呼びかけてまいります。私たちの基本政策と矛盾しない限り、原則として政策提案を受け入れる方向で前向きに議論をしてまいります。最大限の柔軟性を発揮していく準備が私たちにはございます。「それが国家国民のためであるならば、決してあきらめない」これがこの内閣の不動の方針でございます。

初閣議におきまして経済対策の策定を指示いたします。国民の皆様が直面している物価高への対策をしっかりと講じていく、ガソリンの暫定税率は速やかに廃止する考えでございます。

さらには野党の皆様のご意見にも耳を傾けながら、いわゆる103万円の壁も引き上げてまいります。手取りを増やし、家計の負担を減らす、そのための経済対策です。

米国の関税による影響の緩和にも万全を期してまいります。 また、この内閣における成長戦略の肝は、危機管理投資でございます。 経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障など様々なリスクや社会課題に官民手を携えて先手を打って行う戦略的な投資でございます。

世界共通の課題解決に資する製品・サービス、インフラを提供できればさらなる日本の成長につながってまいります。

未来への不安を希望に変え経済の新たな成長を切り開いてまいります。その大胆な取り組みをここから始動いたします。

来週はマレーシアでのASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議、韓国ではAPEC(アジア・太平洋経済協力)も開催されます。多くの国の首脳と顔を合わせる絶好のチャンス、自由で開かれたインド太平洋を外交の柱として引き続き力強く推進し時代に合わせて進化させ、基本的価値を共有する同志国やグローバルサウス諸国との連携を深める、そうした機会としたいと考えております。

またトランプ大統領と早期にお会いをして日米関係をさらなる高みに引き上げてまいります。 日米関係は同盟国として、日本の外交安全保障政策の基軸でございます。二国間の課題にとどまることなく、インド太平洋地域の課題から中東情勢、欧州・ウクライナに至るまで、日本と米国が直面する課題につきまして、率直な意見交換を通じ、首脳同士の信頼関係を深めてまいります。日本の国益を守るため世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します。

内から外から日本は大きな危機に直面しています。立ち止まっている暇はございません。全力で変化を恐れず果敢に働く、初日から全速力トップスピードで閣僚の皆さんにはそれぞれの分野で任務を果たしていただきます。

衆議院参議院ともに自民党と日本維新の会を合わせても過半数には及ばない少数与党による厳しくまた困難な船出でございます。それでも私は諦めません。この内閣は決断と前進の内閣です。国民の皆様とともにあらゆる政策を一歩でも二歩でも前進させていく、どうか国民の皆様のお力をお貸しください。新しい内閣の船出にどうか国民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう心よりお願いを申し上げます。私からは以上でございます。

記者質疑応答

時事通信 

日本維新の会との連立合意を受けての組閣となったが、維新が閣外協力となったことへの受け止めをお聞かせください。さらに、維新から起用された遠藤秘書補佐官に期待することも併せて教えてください。 続いて今回の組閣で女性閣僚は2名にとどまりました。女性初の総理となられただけに世間では女性閣僚がもっと増えるのではという期待もありました。総理は今回の人事にあたってどういう方針で臨まれたのか教えてください。最後に、維新と連立を組んでも衆参両院で少数与党という状況に変わりません。この政治状況を打開するために、早期の衆院解散総選挙に持ち込む考えも改めて確認させてください。

高市総理

先ほども申し上げましたが、政治の安定なくして力強い経済政策も力強い外交安全保障も推進することはできません。日本を再起させたいという思いでこの連立政権合意をし、ここにはっきりと連立政権樹立と書いてございます、この合意にたどり着いてくださった日本維新の会の同志の皆様には心より感謝を申し上げます。

その上で、今回は日本維新の会と物価高対策、首都機能のバックアップ、また社会保障改革、憲法改正など非常に広い分野で意見の一致を見ることができました。閣内に閣僚を送ってくださるかどうかに関わらず、連立政権合意書、ここに基づいてともに手を携えて国家国民の皆様のために全力を尽くして政策実現に取り組みます。 

そしてまた遠藤国対委員長の件でございますが、まだこの後、発令をさせていただきます。日本維新の会との政策調整を円滑に進めるということもあり、遠藤国対委員長には連立合意政策推進担当補佐官という役割を担っていただくつもりでございます。

これまでのご経験、ネットワーク、知見を生かして大いに活躍していただくことを期待いたしております。

それから閣僚人事でございますが、一部、高市内閣になったら女性閣僚が6人になるというニュースが流れておりましたが、当初より申し上げております通り、私はあくまでも機会平等、チャンスの平等を大事にしています。それから全員参加、全世代総力結集、この考えで組閣を行いました。国民の皆様のためにあらゆる政策を一歩でも二歩でも進めていける、そういったことから適材適所の布陣といたしました。まだ明日、この後また副大臣の人事もございますのでお楽しみに見守っていただけたらと思います。

そして解散のお話がございました。今はもうとにかく多くの国民の皆様が困っておられる、そしてまた例えば、賃上げ税制の恩恵を受けられない、それでも一生懸命素晴らしい技術を持って努力をしておられる、そういう中小企業の方々のご苦労もございます。また農林水産業も大変です。コストが上がって苦労をしておられます。それから医療機関も7割が大きな赤字を抱えている。そしてまた福祉施設の倒産も過去最多となりました。こういったことを考えますと私たちの安心安全に関わる大切なインフラが失われるかもしれないなど、今手をつけなければ間に合わないことたくさんございます。ですからとにかく経済対策最優先で取り組ませてください。今すぐに解散どうのこうのと言っている暇はございません。

日本経済新聞

経済と金融政策について伺います。先程、物価高対策に言及されましたけれども、物価高対策実施を目指す中で利上げを避ければ為替市場で円安が進行してさらなる輸入のインフレを招きかねない恐れがあります。総理自身は日銀が次の利上げを判断できる経済、物価の環境が整いつつあると考えますでしょうか? また持論でいらっしゃる金融緩和路線を続けるのか、それとも利上げ継続の姿勢を示す日銀の判断を尊重しますか? 最後にデフレからの早期脱却と2%の物価安定目標の実現に政府と日銀が一体となって取り組むことを掲げたアコード(政府・日本銀行の共同声明)の見直しは必要と考えていますでしょうか?

高市総理

私はマクロ経済政策の最終的な責任は政府が持つものだと考えております。これは日銀法におきましても日銀の金融政策が経済政策の一環をなすものであるということを踏まえまして、日銀が政府と十分に連携を密にして意思疎通を図っていく、これが何より大事だと考えております。その上で金融政策の手法につきましては日銀に委ねられるべきものと考えています。ですからこれからもコミュニケーションをよくしていきたいなと思っています。そしてやはり経済・物価・金融情勢、こういったものを踏まえながら2%の物価安定目標、これがコストプッシュだけではなく、やはり賃金の上昇も伴って緩やかにという形の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行うということを期待しております。

アコードについてのご質問でございますが、今の段階で直ちに見直しをするということについては考えておりません。

フジテレビ

外交について伺います。総理も冒頭触れられていましたが、就任直後からASEAN、トランプ大統領の訪日、APECと重要なイベントが続くことになります。総理の外交手腕、外交力に早速注目が集まることになりますが、どういった外交を展開するお考えでしょうか? 特にトランプ大統領との個人的な信頼関係を深めることも重要になると思いますが、高市総理の首脳外交をどういった戦略で成功させるお考えでしょうか? 主要議題として、関税関連の対米投資、防衛費、北朝鮮問題など、重要事項が山積していますが、どういった主張をされたいお考えでしょうか?

高市総理

就任直後ではございますけれども、いよいよ重要な外交日程が目白押しでございます。まず、ASEAN関連首脳会議につきましては、先ほど申し上げました自由で開かれたインド太平洋(FOIP)、これを一層推進してASEANとの協力を進めていく機会にしたいと考えております。

また日米同盟は我が国の外交安全保障の基軸でございます。我が国は米国側から見ても、米国の対中戦略やインド太平洋戦略の不可欠なパートナーだと私は考えております。まもなくトランプ大統領の来日が予定をされておりますけれども、もしお会いできましたら日米が直面する問題について率直な意見交換を通じて首脳同士の信頼関係をまず深めていきたいと思っております。

そして先ほど申し上げましたように、FOIPが非常に重要であるということも訴えてまいりたいと思っております。先ほど防衛力の話も出ましたけれども、非常に重要です。日本が自立して国を守れる形を作っていくということは、我が国の国民の皆様の生命を守ることでもあり、領土、領海、領空を守ることでもあります。国家主権を守る大切な取り組みでもありますので、これは日米協力のもとにありますけれども、日本自体の防衛力はしっかりと充実をさせていく、こういったお話はしたいと思っております。

それからAPEC、これも重要な地域枠組みでございます。首脳会議がございますので、ルールに基づく自由で公正な経済秩序、この維持強化の重要性をしっかりと訴えて参ります。各国の首脳とお会いできる貴重な機会でございますので私は非常に楽しみにしております。時間をかけて信頼関係を作って、そして日本からもどんどん提案をし存在感を発揮し、やはり世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻したい、こういう強い決意でおります。

読売新聞

日本維新の会との連立で合意したけれども、与党は衆参ともに少数与党の状況は変わらない状況です。そうした中、前政権は政策ごとに部分連合を模索して法案、予算案を可決させましたけれども、総理はどのような手法で多数を確保するおつもりか? また、野党との連携を模索する場合、連立を離脱した公明党や総理が一時連携を模索された国民民主党、あるいは政策が一部近い参政党などありますけれども、どの党との連携を優先されるお考えかお願いします。

高市総理

とにかく今、国家国民のために全力で結果を出していかなきゃいけない、そして特に経済対策などが非常に重要である、こういったことは党派を超えて共通認識となっていると私は考えております。とにかく政治の安定がなければ何もできませんので、これからしっかりと自民党の基本政策、ここと矛盾しない限り原則としましては政策提案、各党各会派からの政策提案を伺い、そしてまた前向きに議論していく、そういった姿勢でおります。とにかく国家国民のために結果を出すということが何よりも重要でございますので、何か政策提案をいただいた党とは真摯に議論を積み上げていく、これに尽きると思っております。具体的な政党のお名前もいただきましたが、それについては特にコメントいたしません。

神戸新聞

防災庁について伺います。石破政権は看板政策として防災庁の設置に向けて準備を進めてきました。高市首相もこれまで事前防災対策や災害時の医療体制の重要性について語り、防災庁の必要性を認める発言もされていたかと思います。いざ今首相になられて、地方拠点も含めた上で今後防災庁の体制づくりをどのように進めていくか教えてください。

高市総理

私は国の究極の使命は、国民の皆様の生命と財産を守り抜くことと申し上げてまいりました。やはり皆様の命、財産、これを災害から守り抜くということを考えますと、人命最優先の防災立国の実現、これは喫緊の課題でございます。

防災庁でございますけれども、我が国の防災全体を俯瞰的にとらえて徹底した事前防災、それから発災時から復旧復興までの一貫した災害対応、この司令塔となる組織とすることとしております。

この内閣においては実は復興大臣を防災庁設置準備担当大臣にもいたしました。今、復興庁では東日本大震災の被災地の復興に向けて一生懸命取り組んでおられます。特に福島県ではまだまだ先の長い取り組みがございます。ここは大切にしながら、しっかりと人手も割き、力を抜くことはございません。ただ復興庁において蓄積してきた災害復興の経験やノウハウ、これを最大限に生かさないというのはとってももったいないと私は考えました。ですから防災庁設置準備にこれまでの経験・ノウハウを最大限に生かしながら、石破前政権の下で打ち出されてきた方針を引き継いで、令和8年度中の防災庁設置に向けた準備を進めてまいります。

日本テレビ

物価高対策について伺います。トップスピードで初日から結果を出すという発言が心に留まりました。では物価高対策でスピード感を持って何の結果を出すのか具体的にお伺いしたいです。高市政権での物価高対策について何を優先順位を持ってやっていくのかというメッセージが受け止めづらいという指摘があります。冒頭では103万円の年収の壁の引き上げについて言及がありましたけれども、今から言う4つの中での優先順位・メニューについての考え方を教えてください。1つ目は、103万円に関しては引き上げると言いましたが、これは年内に結果を出すのか? 国民民主党が求めている年末の年末調整での所得税の減税まで考えているのか? 2つ目は給付付き税額控除。総裁選では優先順位を高く打ち出しましたが、その後、熱意を感じない部分があります。今どうお考えになられているのか? 3つ目は減税です。特に維新の会が強く求めていた食料品の消費税減税。4つ目が自民党が参院選で打ち出した給付をどうするのか? この4つをいつまでにどう優先順位をつけてどう実現していくのか? その結果をどう出すのかの具体的なビジョンをお伺いします。

高市総理

高市内閣の最優先事項、これは国民の皆様が直面している物価高への対応でございます。この後初閣議を行います。そこで経済対策の取りまとめの指示を私は出します。いわゆるガソリンの暫定税率でございますが、これはこれまでの各党間の協議を踏まえまして、今国会での廃止法案の成立を目指します。ですから非常に早く実現するものであります。また軽油引取税の暫定税率、これも私が訴えてきたことでございますので、これも新年度までに廃止することが望ましいと考えています。これらの廃止に伴って当然財源は必要ですが、国及び地方自治体の安定財源も確保しつつ、廃止までの間は補助金を活用することを考えております。割とスピード感があるのはこの点でございます。

それから先ほど自民党が参議院選挙で掲げました給付金についてお話がございましたが、私はこの夏の参議院選挙で給付金については国民の皆様のご理解が得られなかったと考えております。ですからこれは実施をすることをやめて、物価高に関する国民の皆様の懸念一つ一つに丁寧に対応するための財源として使わせていただきます。例えば先程少し触れましたが、赤字に苦しむ病院、介護施設への対応として、診療報酬、介護報酬について報酬改定の時期を待たずに、今は経営が大変ですので、経営の改善、また働いておられる方々の処遇改善につながる補助金を前倒しして措置させていただきます。

それから、物価高対策ということで言いますと、国・地方自治体から民間への請負契約単価、これは物価上昇を踏まえて適切に見直す、これも急ぎたいと考えています。それから中小企業小規模事業者への対応として、賃上げと設備投資、これを強力に後押しするということ、これも進めます。 

それから物価高の影響を受けておられる生活者の方々、それから賃上げ税制を活用できない中小企業または小規模事業者、または農林水産業も大変です。今様々なコストは高騰していますから、こういった方々を支援する推奨メニューを設けた上での自治体向けの重点支援交付金を拡充することを考えております。これも速攻性のあるものだと思います。

それぞれの地域の課題に応じて一番しんどいところにお金を入れていきます。それからこれから冬場に入りますので電気ガス料金の支援も行ってまいります。

それから少し中期的に時間がかかるものと分けて考えなければなりません。いわゆる高校無償化、それから給食費の無償化、これについてですが、今回の連立合意に基づきまして、制度設計の議論を進め、来年の4月から実施をするということで取り組んでまいります。

それから、いわゆる103万円の壁でございますが、今般、自民党・維新の連立合意を踏まえまして、所得税の基礎控除等をインフレの進展に応じて見直し、その制度設計については今年令和7年内、年末をめどに取りまとめてまいります。

それから給付付き税額控除、これは私のこだわりでもありますし、各党からも各会派からもそういったご提案が出てきております。これはやはり税・社会保険料負担でなかなか大変な中低所得者層の方々の負担を軽減して所得に応じて手取りが増えるようにするものでございますので、これは早期に制度設計は進めます。少し準備の時間がかかりますので、その実現を図ってまいります。

そのようなことで必ずしも今年の年末までにできることとそうでないものもございますけれども、あらゆる知恵を絞ってできるだけスピーディーに取り組んでまいります。

北國新聞

能登の復興についてお伺いします。昨年元日に発生した能登半島地震から間もなく1年10ヶ月が経とうとしています。能登の被災地は、震災後には豪雨にも襲われて二重被災となった地域もあり、現在も復旧の途上といった段階ですが、首相として今後、復旧・復興にどのように取り組まれていくのか、お考えをお聞かせください。今日、首相の選出後に地元の知事や国会議員からもぜひ能登に来ていただきたいという声が上がっていましたが、今後被災地を訪れるご予定やご意向あるようでしたらお聞かせください。

高市総理

能登半島地域におきましては地震と豪雨災害の二度にわたって大変なことになってしまって、お亡くなりになられた方々には哀悼の意を表すとともに、大変な被害に遭われた方々に改めて心からお見舞いを申し上げます。これまで県と被災市町と緊密に連携を図りながら被災者の皆様の避難支援、それからインフラ復旧、また生活と生業の再建支援、また住まいの確保、それから公費解体の加速化、こういったことには予備費を活用しながら切れ目なく取り組んできたところでございますが、まだまだ道半ばでございます。やはりインフラ復旧、それから生活と生業の再建が非常に大事ですので、一日も早い復旧復興に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。

なお被災地への訪問も考えております。馳知事からも私のスマホにメールをいただいたところでございます。当面外交日程がございます。それから早急に対応すべき国会の審議もございますけれども、日程が空くところをしっかりと見て、ぜひとも伺いたいと私は考えておりますので、その折にはよろしくお願い申し上げます。

朝日新聞

外交と安全保障について伺います。先日の維新の会との合意文書の中でいわゆる安保三文書、戦略三文書を前倒しで改定すると明記されています。具体的なスケジュール感、規模感を総理の中でのイメージがありましたら教えてください。 また、この合意の中では防衛装備移転三原則の中での5類型の撤廃も明記されております。これは自公政権の中でも慎重な議論があり堅持されてきたものです。これまでブレーキ役となってきた公明党がいなくなる中で、こちらもどのくらいのスケジュール感で一気に進めようとお考えなのか? それとも慎重な議論が必要とお考えなのか? そちらについても教えてください。

高市総理

防衛三文書につきましては、私は最近の戦いの対応が随分変わってきたと思っております。皆さんもご覧になっていると思いますが、これはロシアとウクライナの戦争の中で、すごい勢いでドローンが飛んできて、しかもスウォーム攻撃です。こういったものも含めてございます。

また、サイバープロパガンダ、深刻なサイバーアタックなど日本にとってはまだまだ取り組みが足らない、これからもっともっと強くしていかなければならない分野もございます。そういったことを考えますと2022年の12月に戦略三文書を策定いたしましたけれども、もう見直しの作業に取り掛かる指示を出したいと思っております。

2022年の三文書見直しの時もしっかりと時間をかけながら細かく詰めて、また与党内でもしっかりと審査をいただいて作ってまいりましたが、それでももう一刻を争う状況だと思っておりますので、これはしっかりとスケジュール感を考えて取り組んでまいりたいと思っております。

後段の質問についてでございますけれども、今すぐに期限を区切れるものでもないと思っておりますが、ただ大切な合意でございますし、国際標準に合わせていくという内容でございますので、これはしっかりと与党の皆様にもまたご理解をいただける安全保障観を一緒にする各党の皆様にも呼びかけをしながら実現に向けてまいりたいと思っております。

ニコニコニュース

総理の頭の中には様々な政策がありますが、政策のロードマップを国民に示すお考えはあるのかという点と、政策には短期と中長期的なものがあって、長期政権でなければ実現できないものもありますけれども、長期政権として取り組む覚悟はあるのか、またそれはどのような政策かを教えてください。

高市総理 

例えば、日本経済の強い成長を実現することを考えますと、AI、半導体、量子、造船といった戦略分野について、官民連携、フレームワークを構築する、そして、総合的な支援策を講じていくということが必要です。ここでは当然、官民で短期、中期、長期の戦略目標、そしてまたロードマップをしっかりと策定して共有していくということが必要になってまいります。

先程来、私が申し上げてまいりました危機管理投資、これも確実に成長を生むものでございます。なぜならこれらは世界共通の課題です。食料安全保障、エネルギー安全保障、サイバーセキュリティ、みんなちゃんと強くしたい。また今、各地で気候変動による災害が起きています。そうするといろんなインフラ・防災もしっかりと強くしたい。これは世界共通の課題です。日本にはこれらを解決する先進的な技術がかなりあります。ただそれを学術機関に眠らせておくのではなくて、しっかりとこれを製品サービスまたインフラにして日本国内で活用し、世界各国にも展開していく、これによって日本にも富を呼び込めますし、多くの国々の課題を解決する貢献もできると私は信じています。

ですから一つずつ一つずつではございますけれども、各閣僚にとにかく働いてくださいと、今日から働いてくださいというぐらいの勢いで申し上げております。それぞれの閣僚にタームを割り振りましたので、そういったことを前進させるための戦略をつくる閣僚もいるかと思います。また、予算措置や税制で進めていこうという閣僚もいるかと思いますが、どれも大事なものでございますので、しっかりとしたビジョンを示しながら頑張っていきたいと思っております。

その上で在任期間ですが、私は今、石破前総裁の残任期間を務めている自民党の総裁でもございますので、私が今申し上げたことを全部やるのに果たして2年で足りるのかというご質問だと思います。ただ在任期間というのは政策を実現できたかどうか、政策が前進しているかどうか、そういった中で国民の皆様のご判断で決まっていくものだと思っております。それは腰を据えて長くやった方が実現の可能性は高まると思いますけれども、これはやはり国民の皆様に委ねたい、そう考えております。

韓国新聞社 朝鮮日報

韓国では一部に高市総理の就任で日韓関係が悪化するのではとの懸念も実はあります。その一方で韓国を重視した外交を進めてくださるのではないかという期待もあります。日韓関係についてどのようにお考えでしょうか。

高市総理 韓国は日本にとって重要な隣国でございます。とにかく国際社会の様々な課題に対応するためにも必要なパートナーでございます。日韓関係の重要性というのは今一層増していると私は考えています。これまでの政権の間で築かれてきました日韓関係、この基盤に基づきながら日韓関係を未来志向で安定的に発展させたい、こんなふうに私は考えております。ですから大統領との間でも会談を希望いたしております。また両政府間でしっかりと意思疎通を進めていきたいと思っております。また日米韓三国でも、これは北朝鮮に対する対応というところでこれまでよりもさらに重要な取り組み、これは安全保障経済安全保障どっちの面でもそうなんですけれども、この協力も必要ですから戦略的な観点からしっかりと進めてまいります。いろいろご懸念があるようでございますが、韓国のりは大好き、韓国コスメも使っています、韓国ドラマも見ております。これからまた大統領とお目にかかれるようなチャンスを作れることをとっても楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。