中国系2団体、香港市民支援で英政府から資金 懸念の声も

2022/04/22
更新: 2022/04/22

英メディアによると、同国に移住する香港市民を支援する名目で英政府から資金提供を受けている2つの中国系団体が中国共産党の影響下にあるという。在英香港人らは懸念を強めている。

中国政府が2020年6月末、民主化活動や反体制的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」を施行して以来、過去1年間で香港市民約10万人が、英政府の「BNO特別ビザ計画」で英国に移住した。

英政府は昨年4月、香港市民の英国での仕事、住居、学校探しなどの支援で4300万ポンド(約72億円)を拠出すると発表した。

英紙タイムズ18日付によると、華人団体「チャイニーズ・コミュニティ・センター・バーミンガム(CCC-B)」と「チャイニーズ・アソシエーション・オブ・サウサンプトン(CSA)」は、香港人支援プロジェクトで、英政府から資金3万4719ポンド(約581万円)と2万130ポンド(約337万円)をそれぞれ取得した。

報道では、CCC-Bの理事2人は過去、英国華人参政プロジェクト( British Chinese Project)に関わっていた。同プロジェクトの発起人は、中国系弁護士の李貞駒(英語名:Christine Ching Kui Lee)氏である。

今年1月、英情報局保安部(MI5)は、李貞駒氏は中国共産党のために英政界で浸透工作を行い、「政治的な干渉」活動を行っていると議会に向けて警告した。

CCC-Bの公式ウェブサイトでは、アンディ・チャン(Andy Chan)理事とワウ・オー(Wah Au)理事は英国華人参政プロジェクトで、会長とプロジェクト・マネジャーを務めたことがある。

いっぽう、CSAの創設者であるピン・ファウ(Ping Hua)氏は過去に英紙モーニングスターに寄稿し、米国は「人権問題をめぐって様々な嘘をでっち上げた」と批判し、中国政府を擁護した。

昨年11月、華人団体がロンドン市で「反人種差別」集会を行った。英国に住む香港人らは親共産党の色合いが強いとし、集会現場で抗議活動を行った。集会の親中参加者は香港人らを襲い暴行し、複数の負傷者が出た。

ピン・ファウ氏はこの集会を企画した1人だという。集会でスピーチを行った同氏は、米国とその同盟国は人権問題を通じて「全方位から中国を攻撃しようとしており」、「香港(政府)転覆を煽っている」と非難した。また、海外で中国系住民へのヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えている原因は「米国側の宣伝戦にある」とした。

20年7月に英国に亡命した香港人の民主化活動家、羅冠聰(ネイサン・ロー)氏と香港人団体「英国港僑協会(HKB)」は、CCC-BとCSAが英政府の助成金を獲得したことに懸念を示した。

羅氏は「中国共産党の影響下にある組織に資金を提供してはいけないと思う」と述べた。

HKBは「われわれの政治亡命が失敗するだけでなく、民主主義と自由が侵される可能性がある」と危惧した。

タイムズ紙によれば、CCC-BとCSAは羅氏らの懸念について「根拠がない」「悪意を持って中傷した」と反発した。

(翻訳編集・張哲)