米下院で選挙関連法案を審議 民主党、郵便投票の永久導入狙う

2021/03/03
更新: 2021/03/03

米下院で2日、過半数の議席を占める民主党は、昨年の大統領選挙で物議を醸した郵便投票の永久導入を目指し、「フォー・ザ・ピープル法案(For the People Act、またはH.R.1 Act)」の修正案を押し通そうとした。

民主党側の800ページに近い膨大な提案は、2020年大統領選挙期間中に疑問視された有権者登録と投票手続きプロセスなど、州政府が中共ウイルス(新型コロナ)の大流行や都市封鎖措置に対応して実施した、多くの措置を連邦法にするものだ。

下院では、2日午前の大半の時間は修正案についての答弁に費やされた。その後、下院議員らは、同法案に関する56項目の修正案について審議した。修正案のうち、7項目は共和党議員によって作成された。3日に最終投票を予定している。

H.R.1法案は2019年、米下院で初めて導入され可決されたが、上院での投票が行われなかった。民主党は、第117回議会(2021年1月3日~23年1月3日まで)上下両院で、同法案の再導入と可決を目指す。

同法案の中で最も議論されているのは、全国的な郵便投票の認可、16歳と17歳の青少年の有権者登録、永久的な期日前投票の認可、オンライン登録のための最小限の認証、投票用紙の収集の合法化、選挙運動資金法の変更、重罪犯の刑期終了時の投票権などの内容だ。

また、同法案の下で、連邦選挙委員会(Federal Election Commission、FEC)は、現在の超党派が監督する組織から、党派的な多数決(partisan-majority-rules)組織になる。

同法案は、選挙候補者が、個人や特別な利害関係者が提供した選挙資金から給料を引き出すことを可能にする。これは今まで違法行為とされていた。

2日午前の答弁で、ゾーイ・ロフグレン下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)は、「パンデミックの中で行われた前回の選挙では、不在者投票や期日前投票などの改革によって、多くの米国人が投票しやすくなった。これによって、われわれの民主主義システムに深刻な不平等が続いていることが浮き彫りとなった」と発言した。

同議員は、2020年大統領選挙について「選挙の不正行為を証明する信ぴょう性のある事例はない。記録的な投票率となった」と強調した。

一方、共和党のロドニー・デイビス下院議員らは強く反論した。

デイビス議員は、同法案で「選挙をめぐる州と地方政府の決定権が奪われ、連邦政府に渡すことになる」「言論の自由を保障する憲法修正第1条に反するうえ、企業が議会の選挙運動に資金提供することを許すことになる」と述べた。

デビー・レスコ下院議員(アリゾナ州選出)は、「同法案は国民のためではなく、政治家のためのものだ。法案は連邦選挙委員会を武器にし、州政府の権限を侵害し、言論の自由を大幅に制限する」と非難した。

答弁中、一部の共和党議員から、郵便投票についてさらに議論すべきだとの声が上がった。

ロフグレン議員は、連邦選挙を監視する下院運営委員会の委員長を務める。同委員会は2月25日、H.R.1法案について公聴会を行った。共和党議員は、共和党側が提出した修正項目の大半が採用されておらず、1回のみの公聴会は立法プロセスとして不十分だと批判した。

(記者・Mark Tapscott、翻訳編集・張哲)