米国の元下院議長で大学教授ニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)氏は、10月10日の保守系メディア・FOXニュースに出演し、トランプ大統領に対する民主党の弾劾は、倒閣運動の一環であると述べた。
ギングリッチ氏は20年あまり共和党の下院議員を務め、クリントン政権時代に下院議長を5年間務めた。同氏によると、このトランプ大統領に向けた倒閣運動は2016年、大統領に当選した日から始まり、現在までに「クーデター(政権転覆)」未遂が何度もあったとした。
ギングリッチ氏によると、これらの反トランプ派の倒閣運動の流れを形成する騒動や申し立ては、いずれも根拠となる「証拠」が乏しいとした。一例として、下院議長ナンシー・ペロシ氏が主張する、ウクライナ疑惑の内部告発者の存在を上げた。
また、倒閣のための「攻撃」が一つ終われば、新たな「事案」を持ち出してくるとした。
倒閣運動は、トランプ氏の大統領選挙の勝利が決まった24時間以内に、すでにスタートした。投票日から2日目の2016年11月9日、左翼組織は6都市でトランプ氏に対する緊急抗議デモを呼びかけた。左翼過激派はシカゴ、ロサンゼルス、サクラメント(カリフォルニア州の州都)、ニューヨーク、サンフランシスコ、アルバカーキ(ニューメキシコ州最大の都市)で集会を開いた。
決起を呼び掛けた「人種差別を止めるための作戦」組織(ANSWER)は次のように発表した。「ドナルド・トランプが大統領に選出された。衝撃的な結果だ。しかし、私たちはトランプの妄想に満ちた極端な右翼の提案を叩き、打ち負かすことができる!」
ギングリッチ氏は、大統領は民主主義に基づく普通選挙制度のもとで勝利したのであり、この結果への抗議は、民主主義への挑戦だと指摘する。
倒閣運動はますます規模を発展させ、巧妙になった。数週間にわたる抗議活動の後、反トランプ運動の左翼は、抗議活動だけでは目的を達成できないと早々に気づいた。左翼の中核層は、「弾劾」こそがトランプ大統領を追放するための最良の手段であると認識し始めたという。
2016年12月15日、選挙から約5週間後、大統領就任の約5週間前に、左翼系のカルチャー紙Vanity Fairは、エミリー・ジェーン・フォックス(Emily Jane Fox)氏の寄稿文 「民主党はドナルド・トランプを弾劾するために地ならししている」を掲載した。トランプ一家のこれまでの商売、トランプ氏所有の財産、および個人の財務に不正行為がある可能性について言及、世間にネガティブな印象を与えることを狙った記事だった。しかし、この話題は数週間後に「ロシアゲート」に取って代わられた。
大統領に正式に就任する前から、民主党の弾劾案は沸き上がっていた模様だ。2017年1月20日の大統領就任当日には、ワシントン・ポストは、マテア・ゴールド(Matea Gold)氏の記事「トランプ大統領の弾劾が始まる」を発表した。
作家でもあるギングリッチ氏は、ベストセラーの著書『トランプとトランプの米国を理解する』のなかで、大統領をホワイトハウスから追い出す試みは、決して真実の追及ではなく、単なる破壊工作だと書いた。
同氏は、2016年の選挙後5日間にメディアによって報道された反トランプ運動を列挙し、いかに民主党と左翼からの運動が根強く、「弾劾」という言葉が表出したのは最近だが、すでに作られた「スキャンダル」が止むことなく、2016年から続いていると述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)