ファーウェイ、北朝鮮の通信暗号化に協力=38ノース

2019/07/23
更新: 2019/07/23

北朝鮮の携帯通信網の建設にファーウェイと別の中国企業が技術協力している。北朝鮮情報を専門的に扱うサイト「38ノース」が7月22日報じた。「38ノース」が入手した北朝鮮のネットワーク企業の会議記録に、この情報が記されているという。

会議は2008年5月28日、マレーシアのクアラルンプールで、朝鮮郵便通信(Korea Posts Telecommunications)とエジプトの通信企業オラスコム・テレコム(Orascom Telecom)の間で行われた。

この2社は、中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)と通信技術企業パンダなどの協力を経て、2008年12月に北朝鮮の高麗リンクサービスを設立した。

38ノースによると、北朝鮮で初めて携帯電話ネットワークが導入されたのは2002年だが、2004年に発生した龍川鉄道駅爆破事件以後、通信網の機能が制限された。北朝鮮当局は、その数時間前に金正日書記がその鉄道を通過したため、暗殺テロを疑ったという。

事件以後、情報通信網に関して、データ通信や通話の監視、傍聴、情報統制が必要であるとの見方を固めたという。クアラルンプールでの会議記録は、「セキュリティシステムが最も重要で喫緊の課題だ」と北朝鮮当局の意見を記しているという。

38ノースによると、厳格な監視システムを構築するために、世界最大の通信技術ファーウェイ(華為技術)に通信の暗号化を依頼した。記録によると、「ファーウェイは、朝鮮郵便通信が開発してカスタマイズした暗号化を適用しても、(高麗リンク)ネットワークのパフォーマンスへ影響しないことを保証する試験を行う」という。

この北朝鮮の厳格なネットワーク構築の試験にあたり、もうひとつの中国企業で北京拠点のパンダ国際情報技術はソフトウェア開発に取り組んだ。伝えられるところによると、パンダ技術は、金正日氏や金日成氏の訪中時に視察を受けている企業であり、長らく北朝鮮政権との信頼を築いている企業だという。

さらに、会議記録によると、ファーウェイのプレゼン資料は、北朝鮮でのユーザーの増加に合わせて、監視システムを拡張する計画を備えている。監視モニターや同時セッションなどを可能にする監視体制だという。

現在、北朝鮮には推計500万人のネットワーク利用者がおり、高麗リンクネットワークおよび政府傘下カンソン通信に分かれる。

ワシントン・ポストは同日、ファーウェイとパンダ国際情報技術が、北朝鮮の通信網構築のために通信機器や保守サービスを提供したと報じた。トランプ米大統領はこの報道を受けて、ホワイトハウスで記者団に「調査する」と語った。

ファーウェイ機器の多くには米国が輸出した部材やソフトウエアが含まれており、ファーウェイが製品を北朝鮮に輸出していれば、米国輸出管理法違反となる可能性がある。

(編集・佐渡道世)