5月20日、習近平中国主席が江西省にある希少土関連企業を視察した。主席は翌日、米中貿易戦の長期化することに言及した。国内メディアは、貿易戦の駒として中国共産党政府が「希少土輸出制限」の手を打つかもしれないとの憶測を呼んだ。
習近平主席は江西省贛州市の希土類企業・金力用磁を20日、訪問した。
この前日に中国人民大学・金燦榮教授は、「中国には貿易戦争に勝つための切り札」を発表した。教授によれば、米国は中国の希土類に依存しているため、禁輸になれば、米国のハイテク産業は深刻な打撃を受ける。
香港英語紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国共産党の公式報告では米中貿易戦争について言及を避けているが、久々の習近平氏のメディア登場が、レアアース企業視察だったため、中国から米国に対するレアアース輸出規制のサインかもしれないと報じた。
中国から希少土禁輸措置が行われた場合の影響は?
ラジオ・フリー・アジアは、在米中国問題専門家の横河氏の意見として、もし中国共産党政権がレアアースを貿易戦の手駒に使ったとしても、米国にとって短期的な影響しか及ぼさないと述べた。
「短期的には影響するが、長期的には意味をなさないだろう。レアアースは重要な資源であるため、2017年にトランプ大統領はアメリカにおける希少土資源の包括的な調査を行った。おそらく中国が禁輸措置を講じたのち、米国は国内で生産を開始することになるだろう」
レアアース、レアメタルは、電子機器生産やハイテク技術分野において欠かせない資源。現在、中国で生産される希少土類の量は、世界の90%を占める。
2009年当時、中国は突然レアアース輸出制限を行った。このため価格が暴騰した。米国、日本、欧州諸国は世界貿易機関(WTO)に訴えて、中国の希少類輸出制限はWTO規則違反であるとして、制限措置の解除を求めた。
横河氏は、もし中国政府が再び希少土の禁輸措置を実施するのであれば、同様にWTO規則に違反であり、さらに米国による包括的な報復措置を招く可能性が高い。
米国電子通信工学博士である龔叔佳氏もまた、中国当局が希少土・金属類を禁じる可能性は低いと考えている。なぜなら、米国がこれに応じた報復措置として、中国企業に対する全面的なハイテク部品や設備の禁輸を実施すれば、まもなく中国ハイテク技術産業は大きな損害を受けるためだ。
(編集・佐渡道世)
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