最近、中国共産党政権は「家庭教会」への取り締まりを強めている。十字架の強制撤去、信仰強制放棄などが行われ、これに対して、300人以上のキリスト教の牧師や長老らがこのほど、連名で異例の非難声明を出した。
河南省で弾圧エスカレート
米ラジオ・フリーアジア放送局の報道によると、9月5日明け方6時頃、数十人の制服を着た公安、政府の職員が突然河南省南陽市の光彩教会に突入し、十字架を強制的撤去し、教会内の音響、楽器、聖書などの物品も持ち去った。
同日明け方、南陽市の古城鄉井樓教会、桐寨鋪鎮惠小營教会と東王集鎮邱坡教会も光彩教会と同じく弾圧行為を受けた。駆けつけた一部のキリスト教信者が当局の乱暴な行為を阻止しようとしたが、公安に拘束された。
河南省では、今年2月から当局が公認しない「家庭教会」の取り締まりが始まったが、最近になってキリスト教全体への弾圧がエスカレートしている。
香港紙・明報は、河南省永城市のある牧師の話を引用し、河南省で今は十字架が全て消え、政府が公認する「三自教会」も十字架がすべて撤去されたと報じた。河南省で4000カ所以上の教会から十字架が撤去されたと牧師は推測した。
米国在住の中国出身の劉貽牧師は、このほどボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、河南当局は地方キリスト教教会の合併を計画していると語った。「現地の複数の牧師からの話によると、恐らく3分の2の教会が閉鎖されるだろう」
河南だけでなく、北京、安徽、江西などでも近頃、宗教抑圧事件が相次いで起きた。「家庭教会」と「三自教会」の十字架などは、地方政府が「違法建築」として多数撤去した。
信者に信仰の放棄を迫る
劉貽牧師は、8月末にTwitterで、河南省の安陽、安徽省の馬鞍山などの地区で、当局が一部のキリスト教信者に信仰を放棄する声明または承諾書の署名を強要したと投稿した。
北京のキリスト教「家庭教会」長老の徐氏はそれについて新唐人テレビ局(本部=米NY)に対して、この承諾書は本人のほか、家族の署名も強要していると指摘し、「まるで文化大革命時代に逆戻りのようだ」と話した。
河南の数人のキリスト教信者によると、2月以来当局は各宗教に対する制限と監視を強め、宗教教義の改変、教会での監視カメラや国旗の設置、共産党の宣伝物の配布、布教者に対する政治審査などを要求したり、未成年者の宗教活動の禁止、教会での国歌の合唱を求めるなど「私達の信仰の核心に衝撃を与えようとしている」という。
「当局は、全国の牧師と布教者が共産党の政治宣伝のために働くよう求めている。中国共産党のイデオロギーと思想コントロールが恐ろしいと思った」と劉貽牧師はVOAに語った。
牧師らの声明
今月1日付けで、中国各地の29人の家庭教会の牧師と長老は、実名でネットで当局の弾圧を非難する声明を出した。署名数は9月10日現在、300人以上に増えている。
声明によると、「改正宗教事務条例」が施行された2018年2月以降、地方政府はキリスト教会を抑圧し、「その横暴ぶりは、文化大革命以来だった」と批判した。
声明はさらに、このような対応は、中国社会に衝突をもたらし、法治原則に反するものだと指摘した。
河南省でのキリスト教弾圧について、香港中文大学崇基学院神学院院長の邢福增氏はVOAに、「これはおそらく中央からの政策だろう。目的はキリスト教の中国大陸での発展を阻止することだ」と語った。河南省のキリスト教信者数は中国各地の上位を占めている。
中国国務院新聞弁公室が今年4月に公表した宗教政策白書によると、キリスト教信者の人口はおよそ3800万人に達している。2010年発表された2300万人より65%増えた。
「家庭教会」の信者の多くが政府組織に登録していないため、キリスト教信者の実際の人数は政府発表より多いと予想されている。7千万人いるという説もある。
(翻訳編集・金本)
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