拡大する中国「空母島」50%完成か=南シナ海南沙諸島

2015/01/26
更新: 2015/01/26

【大紀元日本1月26日】フィリピンやベトナム、中国など6カ国が領有権を争う南シナ海南沙諸島(英名・スプラトリー諸島)の小島が、実効支配を強行する中国軍「空母島」に作り変えられている。すでに「50%は完成」とフィリピン軍幹部は分析している。

 このたびフィリピン情報サイト「ラップラー」は、南沙諸島西部のファイアリークロス礁島(中国語・永暑島)の最新とみられる様子を収めた写真を入手し、公開した。前回の写真は、世界各国の軍事情報を分析しているイギリスの「IHSジェーンズ」が11月14日に衛生から撮影したもの。島の規模は拡大し、工事の進行が確認できる。

 中国による埋め立て工事が行われ、人工的に長さ3000メートル、幅は200~300メートルに拡大した島。2014年12月12日撮影とされるこの写真には、複数の浚渫船(土砂をすくい取る工事船舶)や堆積土砂を運ぶタンカーなど埋め立てのための土木船が写真に収められている。前回の写真と比較して、埠頭となる埋め立て地が確認できる。

 同サイトが伝える情報筋の話では、島は南沙諸島地域における中国軍の司令部施設となるという。また建設中の滑走路は中国軍のジェット機を含む戦闘機の離着陸を可能にし、同地区の安全保障に重大な懸念を引き起こすとも述べている。

 国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーは同年11月20日、ファイアリークロス礁の南西部に中国軍の駐屯地がすでに置かれていると伝えた。11月14日撮影の衛生写真からは埠頭、高射砲、対潜水工作防衛装置などが確認でき、他の軍事機能が備えられるのも時間の問題と報じ、中国軍の「空母島」建設の進行を警告した。

中国軍の「空母島」と化す南沙諸島ファイアリークロス礁島 (RAPPLER.COMスクリーンショット)

 

 

 同月初め、フィリピンのグレゴリオ・カタパン=ジュニア陸軍参謀長は、中国による島開発は「50%完成した」と推定し「平和的な目的ではない」との見方を示した。

 1月21日、同ピオ・ロレンソ=バティーノ防衛次官は「(島は)観察開始以後、成長を続けている。非常に懸念している。深刻だ」とマニラで開かれた第5回米比相互戦略対話の後に述べた。

 その日、同外交問題次官エヴァン・ガルシア氏は、中国によるファイアリークロス礁開発計画は2002年に交わした「中国・ASEAN の南シナ海における関係国行動宣言(DOC)」の明らかな違反と、メディア向け資料に記した。DOCには、いかなる関係国も南シナ海係争地域で緊張状態を引き起こす行動を取ってはならないと記されている。

 米比対話のためフィリピン訪問中の米国務省東アジア・太平洋担当ダニエル・ラッセル次官補は、中国の開発は米国の懸念だと述べた。「主権が争われている南シナ海の係争地区で、中国がいくつもの干拓を進めているのは事実」と認め、南シナ海の「海上交通路の航行自由のため、米国を含む太平洋諸国が注視する懸念事項だ」と話した。

 ラッセル次官補は外交手段を通じて、ASEAN諸国と中国はDOCに沿って問題の最大限の抑制に動くよう求めた。

 

 

 

 

(翻訳編集・佐渡 道世)