【大紀元日本11月5日】中国共産党第17回党大会で中央政治局常務委員に昇格し、中央政治法律委員会書記に就任した前公安部部長・周永康はこのほど、上海市の直訴者により告訴され、9月下旬に北京市人民法院がこの訴訟を受理した。被告側の中共公安部は意外にも17回党大会期間中、原告に正式な行政答弁状を送ったという。これは中国共産党が1949年に大陸で政権樹立して以来、在任中の最高指導部の幹部に対する庶民の告訴がはじめて受理されたことで、国内外各界に高い注目を集めた。原告側を代弁する上海市の著名な人権弁護士鄭恩寵氏が、「意義重大」とコメントした。
胡錦濤現政権と権力闘争している江沢民前国家主席の親戚である周永康が第17回党大会での昇格は、中共当局は江沢民が主導した民衆弾圧路線を引きついたシンボルと見られている。しかし、公安部部長から昇格し、司法・検察・公安三大部門を束ねるトップ権力の中央政治法律委員会書記に就いた周永康が、権力交代の最も肝心な時期に中共史上初のこの訴訟案に巻き込まれた。専門家は、背後には周永康より上層の力が介入しており、胡錦濤政権が江沢民勢力を徹底的に潰そうとしている重大な一歩であると見ている。
原告は、上海市民の童国菁。90年代に私有の住宅が当局に取り上げられ、その後臨時住宅も強制徴用されたため、2003年北京に上申に行き、4年間も直訴を続けてきたが、殴られ、阻止されるだけだったという。2005年、北京で上申する期間、ひどい暴力を受けた後、童国菁が北京市公安局に不満を訴えたが、受理されず、その後更に北京第2法院(裁判所)に、中共公安部部長・周永康の行政不作為として訴訟を提出した。北京第2法院が、一年後の今年9月20日、童の訴訟を受理した。
北京人権活動家・胡佳は、大紀元の取材に、この訴訟案が裁判所に受理され、更に司法手続きに入ることは「不思議だ」とコメントした。胡佳によると、中国の司法環境及び司法界の裏ルールとして、政治法律委員会は「悪の勢力(司法・検察・公安が私利私欲のために仕事していることが多いからそう呼ばれている)」の首魁であり、庶民が高官を告訴することは、受理されないどころか、報復されるのが一般的であるという。すべての訴訟案をコントロールしている中央政治法律委員会書記の周永康に対する訴訟が北京市地方裁判所に受理されたことは、「裁判所の背後に政法委書記よりも上層の力がバックアップしていることを意味する」と言う。
中国政治情勢評論家・伍凡は、周永康に対する法律訴訟が受理されることは、中共高層胡錦濤と江沢民両派の内部闘争及び分裂が表面化しているシグナルであり、胡錦濤の江沢民に対する反撃が加速している表れであるとコメントした。
伍凡によると、10月28日に孟建柱が周永康の後任として公安部部長に就任する際、中央組織部部長の李源潮は官製メディアで、前中央政法委書記・羅幹、前公安部長・周永康が江沢民の「三つの代表」思想の指導下、法輪功に対して「厳しく打撃した」ことを「表彰した」。これは間接的に、この江沢民、羅幹、周永康の3人が、法輪功への弾圧に「直接の」責任を負っているとの表明であるという。
伍凡によると、江沢民に対する胡錦濤の反撃は、計画的かつ段階的に行われているという。李源潮のスピーチは実際に、法輪功弾圧という犯罪事実とその犯罪者が誰なのかを明らかにした。さらに、法律手続きまで進んだ周永康の訴訟案、政治改革及び法輪功弾圧の中止を要求する安徽省政治協商委員・汪兆鈞の公開状、10月中に起きた中国政治の出来ことは、すべて関連しており、背後には胡錦濤が江沢民の法輪功迫害と意識的に線を引き、将来に江沢民に対する政治的動きを準備していると伍凡は分析する。
伍凡は、最近起きた一連の出来事から見ると、中国の政治情勢の変化はますます速く、激しくなっており、周永康に対する法律訴訟など、これらの過程は共産党の解体に衝撃を与えており、次の段階の民主化進展によい働きをしているとコメントした。
コロンビア大学政治学の李天笑博士は、胡錦濤による江沢民に対する打撃は、主に上層、地方、及び体制内広範囲の三つのレベルから行われているとコメント。地方レベルでは、不正融資、株価操作と資本金虚偽報告の容疑で逮捕された上海の富豪・周正毅の案件から江沢民の息子・江綿恒の罪責が問われ、体制内レベルでは、中共第17回党大会後、胡錦濤宛に公開状を出し政治改革を要求する安徽省高官汪兆鈞などを利用して、エリツィンブームを起こし、党内から江沢民に圧力をかける。上層レベルでは、周永康に対する法律訴訟のような手段を使うという。
李博士によると、中国の裁判所が、庶民の高官を告訴する訴訟を受理し、被告側の公安部が原告の庶民に行政答弁状まで送ったことは、中国共産党政権の歴史上初めてである。この訴訟案の重大意義は、罪を犯した官員は、上層の政府幹部であれ、司法執行者であれ、だれでも裁判所で訴えられ審理されることが可能という判例を作ったことである。この訴訟案を最も恐れるのは、胡錦濤の政敵で、法輪功迫害により海外多数の国々で告訴されている江沢民前国家主席だろうと、李博士はみている。
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