【大紀元日本5月10日】中国は昨年、環境汚染問題に取り組み、3千社あまりの企業が強制閉鎖されたが、昨年のエネルギー消費と排気排出量の規定目標をクリアできなかった。専門家によると、その原因は、石炭を主要エネルギー供給源としているためで、原子力発電所の建設に取り組むべきであると指摘した。また、英BBCは、中国が地球温暖化により直面している様々な資源不足の現状を明らかにし、「中共当局が引き続き経済発展を最優先するならば、中国での環境汚染問題の改善措置の効果は、限定的である」と指摘している。
米VOAは、中国日報(China Daily)の報道を引用、「国家環境保護局が飲用水の水源や、工場地区、建築現場の汚染源などを重点的に検査した。そして、2006年には72万社の企業が汚染物質排出の検査を受け、3176社が汚染問題のため強制閉鎖された」と伝えた。科学技術ネットによると、環境保護局が調査した29890社のうち、4162社が環境保護法に違反するため、巨額の罰金を科せられた」と伝えた。
また、米国の著名な経済予測の機関グローバル・インサイト(Global Insight)社の報告によれば、中国環境保護局が計2万8千件の環境保護法違反案件を審査し、そのうちの1万3千件を解決したという。中国は、汚染源問題に取り組む一方、昨年も国家目標(国内総生産のエネルギー使用量を4%削減、排気の排出量を2%削減)をクリアできなかった。
世界十大汚染都市、中国が8つを占める
フォーチュン誌(Fortune)は、「中国環境保護局はこのほど、空気と水質が悪化し続けていると認め、昨年99億ドル相当の163のプロジェクトを中止した」と伝えている。マサチューセッツ工科大学経済学部の教授、チャード・エコス博士は、「中国の深刻な環境汚染の根源は、石炭を主要エネルギー源にするから」と指摘している。
エコス博士は、「中国での環境汚染の根源は、大量に石炭という化石燃料で電力を生産すること。しかも、これでその他のコンクリート製造業のような産業に熱エネルギーを提供している。また、自動車の急増も汚染をさらに深刻にさせた。現在の状況を見ていると、中国は引き続き石炭を大量に使用するでしょう。そのため、環境汚染問題を解決するのが困難だ」と見解を述べた。
EUの交換計画の効果は限定的
フォーチュン誌の報道では、「EUが制定した炭素使用限度の交換計画(国内でコストの削減方式で炭素の排出量の指標をクリアできない企業は、国外で炭素の排出指標を購入する。いわば、世界の他の地域に炭素の排出を削減する経費を支払う)は、中国に利用可能な対策案を提供した」と伝えている。
また、同誌は、「地球温暖化の進行を制止するため、世界一体化システムが構築され始める中、このような排出量交換の金額は毎年1千億ドルに達する見込み。中国は毎年6百億ドルの援助経費を得られる。これは、中国の環境保護を大々的に推進できる」と分析している。その論点に対し、エコス博士は、中国はこの計画を利用できるのだが、根底から中国の環境汚染問題を解決するのは不可能と指摘している。
エコス博士は「EUの計画は一定の役割を果たせるが、中国が石炭を使って発電、製造業が石炭に依存してエネルギー供給するため、大量に排出される二酸化炭素の問題を解消できない」と分析した。
エコス博士:原子力発電所の建設が問題解決の唯一の方法
エコス博士は、中国での環境汚染問題を解決する唯一の手段は、原子力発電所を大量に建設することと指摘している。
同博士は、「中国経済の急激な発展からして、比較的環境にやさしい天然ガスを輸入して、石炭によるエネルギー供給の代替とするのは不可能。そのため、ほとんど有害物質を排出しない原子力発電所を建設するほかない。そうしないと、中国はますます大量の石炭を消費する。EUの炭素交換計画も、原子力発電所を建設する前提下で進めるべきだ。でなければ、相応の効果が得られない」と述べた。
また、グローバル・インサイト社は、「中国が製造業を中心とする産業構造を根底から変えなければ、単に一時的に環境保護運動を遂行しても、効果は限定的である。また、中国の産業構造の改革や、環境汚染の防止措置は、地方政権がひたすら経済目標を追求する現状からみて、有効に実行できないのは明らか。これが、中国が環境汚染に取り組んでも、依然、2006年度のエネルギー使用の削減目標をクリアできなかった原因である」と分析している。
また、BBCの5月4日の報道では、中国の経済発展は、深刻な環境汚染問題を招いたと指摘し、「中国はいま、米国に続き世界2位の温室ガス排出国であり、多くの専門家は、近い将来、中国は第1位に「躍進」すると予測」と報じた。
BBCの報道は専門家の話を引用、中国では、チベットの氷河が融け始め、北部の砂漠化も急激に進み、水資源の不足も日々深刻になっている。これはすべて地球温暖化に関連していると伝え、「中共当局が引き続き経済発展を最優先にするならば、中国での環境汚染問題の改善措置の効果は、限定的となる」と指摘している。
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