ドイツの法律学者、高智晟弁護士と臓器狩りについて語る

2006/09/05
更新: 2006/09/05

【大紀元日本9月5日】今年6月11日、中国の人権現状と法輪功の受けている迫害の実情を調査するため、ドイツの法律学者、人権顧問であるトーマス・ワイラウフ(Thomas Weyrauch)博士は高智晟弁護士と2時間近く電話で話し合った。高智晟弁護士の拘束を耳にした博士は深い関心を表し、高弁護士の逮捕、及びカナダ独立調査団が発表した、法輪功学習者を対象とした中国における臓器狩りの告発に対する調査報告について大紀元の取材を受け入れてくれた。博士の希望により、大紀元は両氏の会話内容を連続して掲載する。

昨年9月にトーマス博士は中国共産党(中共)統治で中国の人権が迫害されている事情を紹介する専門書『災難に遭遇している巨竜』を出版した。同書の終わりに中共の崩壊と法的制裁に直面する結末を予見した。博士は中国で数年間仕事をし、生活した経験があり、中国の民衆に対して深い親しみを持っている。1983年から中国の人権に関する研究に従事した。この本は今年5月、ドイツ国際人権協会から中国人権報道特別賞を受賞した。現在『災難に遭遇している巨竜』初版はほぼ完売し、内容を補充した第二版がまもなく出版する。

*高智晟に対する印象と中国の未来

トーマス博士は、電話での会話で得た高弁護士の印象は、非常に頑強な人で、恐れるものがない人、だと語った。高弁護士は代理した案件について多く言及し、当事者はいろんな罪名を付け加えられて刑罰を下されたが、これらの罪名は民主国家では根本的に刑事処罰にならないと語った。高弁護士は自身と家族が時々刻々監視され、脅かされている、困難な立場についても紹介した。

トーマス博士が最も印象深かったのは、高弁護士の話した中国は現在典型的な独裁制度に置かれていて、この制度はきっと終わるということだった。この観点はトーマス博士と一致した。トーマス博士は『災難に遭遇している巨竜』で、中国は現在邪悪な中共の統治の末期にあると断言した。高弁護士はまた、中共は異なる集団、例えば法輪功、民主運動、環境保護活動家などを迫害しているが、得られた効果は逆で、これらの人は消滅されなかったばかりか、かえって中共に反対する力量をますます強めた、と語った。

高弁護士の言葉は大胆で、鋭く、長年中国人権を研究した経験からトーマス博士は、中共はまもなく高弁護士に手を出すだろうと予感した。8月に高弁護士が逮捕されたことを耳にした彼は以外と感じなかった。ただし非常に悲哀し、高弁護士が酷刑と非人道的な待遇を受けること、高弁護士の家族と親友が巨大な圧力に耐えることを心配した。トーマス博士は「この時間は彼(高弁護士)にとって、一生の中で最も苦難に満ちた時間になるかもしれない。しかし私はこれに対して楽観的な態度を抱いている。この苦しみに耐えた後、彼は生きて刑務所から出られ、かつ真の自由を得られる。ただ個人の自由ではなく、同時に国全体が自由を得られる」と語った。

トーマス博士は、中国は自由民主の国になる機会が絶対にある、これは多くの欧米人々が注目することでもあり、みな同じ地球上で生活していて、運命は密接な関係を持っている、と語った。中共の権力者は望まないことであろうが、一人のドイツ人として、中国の民主化のために力を尽くしたい気持ちが強くある。外国人が直面するリスクは高弁護士のように国内で奮闘する人よりはずっと小さい。中国はどのような政治制度を必要とするかは、中国人自らが選択すべきであり、欧米人には決められない。中国人民は実際民主主義を選んだ。欧米社会は1989年にこの点について分かっている。当時、中国で仕事をしていたトーマス博士はみずから中国の民衆が民主のために戦う場面を経験した。彼は完全に楽観的に、中国人の民主を獲得するために歩む過程は重要な部分に来ており、全世界はみな中国民衆が遠くない将来真の民主制度を享受することを微笑みで注目している、と予見した。

*中国臓器狩りの告発に対する調査報告とナチス収容所

トーマス博士と高弁護士の主な話題は法輪功の中国で受けている迫害だった。一人の人権学者として、彼は常に多くの報告を読み、また専門的な評価を与える。少し前にカナダの2人の独立調査員により完成された生きた法輪功学習者から臓器を摘出する告発に対する調査報告書はこの専門家の眼にどのように写ったのか?

トーマス博士は、報告書を読んだことのない人でも、もしすでに9千万人の民衆を死に至らしめた中共の非人道的な制度に対して理解していれば、このような残酷な迫害が発生する可能性を想像できる、と語った。従って、博士は中共が生きた人から臓器を摘出し、取引を行う悪行があってもおかしくないと思った。極めて大きな興味を持って、あら探しするように、博士はキルガー氏とマタス氏の報告を読んだ。

報告書は生きた人から臓器を摘出する犯罪行為が発生していることについて完全な証拠を持って100%証明できたわけではなかった。それは、第二次世界大戦時のナチスによるユダヤ人迫害と同様で、人々は戦争が終わってから、やっと確実な証拠を得られ、その迫害と収容所内で発生した惨劇を信じることができたのである。戦争時は、ただモザイクタイルのように断片的な情報だけが迫害の発生を伝えていた。このような状況は今のカナダの調査報告書の陳述した情況にとても似ている。あらゆる断片的な情報はすべて1つの方向を指している。

博士は90%以上の自信を持って、報告書で証明されている生きた人からの臓器摘出は現在中国で発生していると言える。従って、次の仕事は2人のカナダ調査員の報告書を更に広め、更に多くの証人に大衆の前に出てきてらい、真相を伝えさせることであると語った。

高弁護士の逮捕と生きた人からの臓器摘出に関する報告書との関連について、トーマス博士は、現在、中南海の密室でどのように決定をしたのかまだコメントできないと述べた。しかし、これまでの経験によると、中共が高弁護士に拘束することはずっと以前から計画していたことで、中共は国際社会がこの件にどのように反応するかを探っていた。それは同時に中共政権の行き詰まりの反映であると表した。これは中共の常套手段で、この体制が弱体化している現れである。

博士は、高弁護士の逮捕は国際社会が注目している、9月13日にハンブルクで開かれる中独の大規模な交流活動「中国の時間」にてきっと話題にされるとみている。現在、中共代表団は必ずこの件について反駁し、さまざまな理由を作り上げ、高弁護士の罪名を被せて、この政権の犯罪を隠すかもしれないと指摘した。メルケル首相とドイツ政府の対応に期待している。博士もハンブルクに赴き、中国の人権と未来に関連する一連の討論会に参加するという。

*呉宏達氏の言い方に対する質疑

生きた人からの臓器摘出といえば、自ずと呉宏達氏の、蘇家屯集中収容所の存在性に対する反駁についても言及される。トーマス博士は呉氏と長年の知り合いであり、今年5月6日にドイツ国際人権協会でも呉氏に出会い、特に生きた法輪功学習者から臓器を摘出することに対する見解を呉氏に聞いた。呉氏は疑問を呈し、その存在を信じないと語っていた。その後呉氏がマスメディアで提出した疑問点について、博士はその中の二つの主な論点について異なる意見を持っていた。

第一、呉氏は調査員を蘇家屯病院へ派遣し、実地調査を行い、周りの観察を通して、大量の臓器移植手術を行うことはあり得ないと断定した。トーマス氏はこのような調査により蘇家屯集中収容所の存在を否定する判断は説得力がないと思った。それは手術室の外での監察は手術室で現在盲腸手術をしているか、それとも臓器摘出手術をしているか判別できないからである。且つ該当病院が臓器移植の専門病院ではないからと言って、あそこで臓器摘出手術が行われたことがないと断定できないからである。

第二、呉氏は証人から生きた人からの臓器摘出事案を否定することができない。博士によれば、呉氏が証人に接近することができないのは、彼はすでに証人の信頼を失ったからである。呉氏は証人を信用しないと声明しているのだから、証人はわざわざ呉氏と交流を図るはずがないと博士はみている。

(記者・周仁)