ブラジル大統領選で敗北のボルソナロ氏 米国到着

2026/10/29
更新: 2026/10/29

ブラジルのフラビオ・ボルソナロ上院議員は、大統領選挙の結果を認めず、最高裁判所からパスポートの提出と出国禁止を命じられたにもかかわらず、27日夜にブラジルを出国した。アルゼンチンやエクアドルを経由して米国に渡った。

テレビで放映された映像では、ブラジル大統領選に出馬したボルソナロ前大統領の息子、フラビオ氏が28日、家族とともにマイアミに到着した様子が確認できる。

トランプ米大統領は27日夜、ボルソナロ氏一家の米国入国を認める意向を示した。これに先立ち、米国務省は一家に入国ビザを発給する方針を明らかにしていた。

トランプ氏、ボルソナロ氏一家の米国入国を支持

トランプ氏は27日夜、テキサス州での選挙活動を終えてメリーランド州のアンドルーズ統合基地に戻った際、「彼らは非常に良い人たちだ。今回の選挙は本当に奇妙だった。ひどいことだと思う」と記者団に語った。

さらに、「私はどちらか一方に肩入れしているわけではない。2人とも知っている。ルラ氏のことも知っているし、フラビオ氏とも多少の面識がある。彼の父親のことは非常によく知っている」と述べた。

最高裁が出国禁止命令 選挙結果めぐり対立

選挙前には広く有利とみられていたフラビオ氏は、10月25日の大統領選挙で敗北した後、現職のルラ大統領の再選を認めず、投票の過程で規則違反があったと主張した。

フラビオ氏によると、最高裁判所の判事が土壇場で投票時間を2時間延長し、さらに厳重な警備下にある開票室から陣営の選挙監視員を退去させたという。こうした理由から、選挙結果は断じて認めないと表明した。

翌26日、ブラジル最高裁判所のアレシャンドレ・デ・モラエス判事は、汚職と資金洗浄の疑いでフラビオ氏に対する捜査に着手し、24時間以内のパスポート提出と出国禁止を命じた。フラビオ氏はすべての疑惑を否定している。

ルラ大統領「恥ずべき行為」と非難

27日に81歳の誕生日を迎えたルラ大統領は、首都ブラジリアでの祝賀行事で、フラビオ氏の国外逃亡を「恥ずべき行為だ」と非難した。

一方、フラビオ氏の父親であるジャイル・ボルソナロ前大統領も、2022年の大統領選でルラ氏への敗北を認めず、米国へ渡ったが、その後ブラジルに帰国した。

ボルソナロ前大統領はその後、クーデターを企てたとして起訴され、禁錮27年の判決を受けた。トランプ大統領は、ブラジル当局による前大統領への対応を「政治的迫害」だと非難している。

「私こそ当選した大統領」 公開書簡で選挙不正を訴え

フラビオ氏は28日、米国到着後にブラジル国民に向けた公開書簡を発表した。ルラ大統領と最高裁判所が「選挙クーデター」によって自身の当選を奪ったと主張するとともに、トランプ大統領と米国民に一家を受け入れてくれたことへの感謝を示した。

「ここは自由の国だ。米国の人々は、ブラジルの善良な人々と価値観を共有している。トランプ大統領は言論の自由を断固として守る人物だ」

また、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領の正義感と勇気にも感謝した。

フラビオ氏は書簡の中で、今回の大統領選挙に不正があったと主張した。ルラ大統領の得票数が第1回投票より決選投票で1千万票以上増えたことを挙げ、「数学的にはあり得ないはずのことが起きた」と訴えた。

「私に投票してくれた6千万人の有権者、そしてブラジル国民全員に伝えたい。私こそが当選した大統領だ。ブラジルの選挙結果を不正に奪った者たちは、圧政を敷く体制を築いた犯罪組織の一員だ」

さらに、選挙結果に異議を唱えたところ、ルラ政権があらかじめ準備していたかのように、すぐさまパスポートの押収に動いたと主張した。

「政治的な魔女狩り」 国外脱出の理由を説明

フラビオ氏は、ブラジルを離れた理由について、政治的迫害から自身と家族を守るためだったと説明した。

「私は自分の国を離れるつもりなどなかった。しかし、その後に何が起きるかはよく分かっていた。これは、どんなクーデターでも使われる典型的な手口だ」

さらに、自身に対する疑惑を否定し、最高裁判所の判事らを非難した。

「私は何の罪も犯していない。実際に行われているのは、政治的な魔女狩りだ。腐敗した最高裁判事たちを弾劾から守るため、私を人質に取り、脅迫の対象にしようとしている」

フラビオ氏は、パスポートの押収に始まり、電子足輪の装着、言論の検閲、自宅軟禁、形ばかりの裁判を経て、最終的には政治的な理由で有罪判決が下されると主張。こうした一連の流れを「政治的迫害の常套手段」だと批判した。

張婷
李言