世界のハイテク株が不安定な値動きを見せるなか、中国のハイテク株は、株価の割高感や輸出の停滞、AI需要の先行きへの懸念などを背景に大幅に下落している。中国のAI・半導体大手を主要構成銘柄とする「科創50指数(STAR50)」が急落し、4か月足らずで構成企業の時価総額が約4千8百億ドル減少した。
人気ハイテク株が軒並み急落
ロイター通信が10月26日に報じたところによると、中国本土の科創50指数が急落し、AIや半導体関連の主要企業の株価は4か月足らずで約40%下落した。時価総額は約4千8百億ドル減少し、世界の金融市場でも警戒感が高まっている。
今回の株価急落では、個人投資家の人気を集めていたAI・半導体関連銘柄が特に大きな打撃を受けた。
中国のロボットメーカー、宇樹科技(ユニツリー)は、新規株式公開の際、個人投資家から募集枠の8千倍に上る申し込みがあった。しかし、8月の上場以来、株価は約50%下落した。
メモリー半導体メーカーの長鑫存儲(CXMT)も、過去1か月で時価総額が25%以上減少した。また、昨年の上場初日に株価がそれぞれ700%、400%急騰した半導体メーカーのメタエックスとムーア・スレッズも、7月以降、株価が約50%下落している。
中国海南省で小規模企業を経営し、株式投資も行う陳文生さんは、当局が宇樹科技などの企業を積極的に支援しているとの報道に加え、国有ファンドが出資していることを知り、株式の購入を決めた。しかし、現在は陳さんも友人らも投資で損失を抱えている。
さらに、10月27日時点で、光通信大手の中際旭創(ジョンジー・イノライト)と新易盛(イーオプトリンク)の株価は、6月から7月にかけて記録した高値から、それぞれ約56%、62%下落した。
下落の一因には、米国政府がこれらの企業を米国内のデータセンター向け供給網から排除する動きを進めていることがある。
米中ハイテク株の下落幅に大きな差
米金融大手ゴールドマン・サックスのデータによると、株価急落前、中国株式市場ではAI関連銘柄の時価総額が市場全体の42%を占め、一時はA株と香港株の売買代金全体の57%に達していた。
個人投資家が中心となる中国市場では、今回の株価急落が幅広い投資家に影響を及ぼしている。
一方、米国のAI関連株への影響は比較的限定的で、ナスダック総合指数は3週間前に記録した過去最高値から6%下落するにとどまった。
これに対し、中国の主要大型株で構成するCSI300指数は、6月の高値から約20%下落した。
北京を拠点とするプライベートエクイティファンドの運用責任者、董宝珍氏は、「株式市場は投機熱によって過熱し、今、そのバブルが崩壊している」と述べた。
科創50指数の株価収益率は、一時250倍近くに達した水準から大幅に低下したものの、現在も約100倍と高い水準にある。ナスダック100指数の約30倍を大きく上回っており、市場では売り圧力が今後も続くのではないかとの懸念が強まっている。
香港の資産運用会社ロータス・アセット・マネジメントの最高投資責任者、洪灝氏は、今回の株価急落によって、上場を目指している多くのハイテク企業が計画の延期を余儀なくされるとの見方を示した。
今回の急落には明確な引き金が見当たらないものの、市場関係者は、割高な株価や税負担、米国などによる中国製設備の使用規制への懸念を背景に挙げている。
専門家「すべてのバブルはいずれ崩壊する」
中共による景気刺激策への期待を背景に、中国のハイテク株はこれまで大きく上昇してきた。しかし、今回の急落によって、約2年間続いていた上昇相場に急ブレーキがかかった。
多くの個人投資家が大きな損失を被っただけでなく、株価が緩やかに上昇する安定した相場を形成しようとしていた中共の思惑も打撃を受けた。
北京に本拠を置くベンチャーキャピタルのパートナー、王磊氏は、主要株価指数におけるハイテク企業の比重が過度に高まったことが、市場のゆがみを生んだと分析している。
王氏は、「ハイテク企業の比重が高まりすぎると、投資資金の流れが偏り、市場そのものがゆがめられる」と指摘した。その結果、特定の分野で深刻なバブルが生じ、他の産業分野から大量の投資資金が流出したという。
ゴールドマン・サックスや仏金融大手BNPパリバなど、一部の外資系金融機関は、主要銘柄のなかには長期投資の観点から割安感が出ているものもあるとみている。
しかし、中国の多くのファンド運用者は、依然として慎重な姿勢を崩していない。
上海の投資会社、卓鋳投資管理のパートナー、王卓氏は、半導体やAI関連企業も、ほかの中国製造業と同様、いずれ激しい価格競争に陥ると警告した。
また、「例外なく、すべてのバブルはいずれ崩壊する」と強調した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。