9月10日夜、那覇空港で航空自衛隊のF-15戦闘機が油圧系統の不具合により緊急着陸し、第2滑走路(B滑走路)が一時閉鎖された。乗員にけがはなかったが、民間機の運航に遅れが生じた。
同じ滑走路では約3週間前にも、同型機が着陸時に動けなくなる事案が起きていた。南西地域の防空任務を担う那覇基地で、何が起きているのか。
F-15が油圧不具合で緊急着陸 那覇空港のB滑走路を一時閉鎖
小泉進次郎防衛相は11日の閣議後記者会見で、経緯を次のように説明した。
10日午後6時7分、航空自衛隊那覇基地所属のF-15に油圧系統の不具合が確認された。機体は午後7時16分、那覇空港のB滑走路に着陸拘束装置を使用して緊急着陸した。
着陸拘束装置は、滑走路上に設置されたワイヤーに機体のフックを引っかけ、機体を減速・停止させる装置である。滑走路上では油漏れが確認され、B滑走路は午後8時24分まで約1時間にわたり閉鎖された。
この間、民間機の運航に遅れが生じた。14便に影響が出た。
小泉氏は「利用者、関係者の皆さまに迷惑と心配をかけたことを真摯に受け止めている」と述べた。詳細については確認中とし、今後の飛行については確認結果を踏まえ、適切に対応する考えを示した。
3週間前には主脚損傷 4時間超の閉鎖で約7千人に影響
今回の事案が注目される背景には、同じ滑走路で同型機のトラブルが相次いだことがある。
8月18日午後1時前、対領空侵犯措置(スクランブル)の任務を終え、那覇空港のB滑走路に着陸した那覇基地所属のF-15は、左の主脚を損傷して機体が傾き、煙を上げた後、動けなくなった。
この影響で、滑走路は約4時間閉鎖された。40便が欠航または遅延し、約7千人に影響が出た。
航空自衛隊は沖縄県と那覇市に対し、着陸時に主脚が格納される方向に折れたとの説明をした。原因については事故調査委員会が調査を続けており、現時点では特定されていない。
当該機はスクランブル任務中で武装しており、実弾ミサイルを搭載していた可能性も報じられた。那覇基地はスクランブルを除く訓練を一時停止し、点検や隊員への再教育、地元への説明を経て、9月1日に訓練を再開したばかりだった。
緊急発進411回 南西防空を支える那覇基地の高い運用負荷
2件の事案の原因はそれぞれ明らかになっておらず、同一の原因があるとみる根拠も現時点ではない。
一方、那覇基地が高い運用負荷を担っていることは確かである。那覇基地は南西航空方面隊の中核基地で、第9航空団の第204飛行隊と第304飛行隊がF-15Jを運用している。
防衛省統合幕僚監部によると、2024年度の航空自衛隊による緊急発進は全国で704回に上った。このうち、南西航空方面隊による緊急発進は411回で、全体の約6割を占めた。対象別では、中国機に対する緊急発進が最も多かった。
小泉氏は、年間400回を超えるスクランブルが隊員の心身に大きな負担をかけていると述べ、隊員の置かれた状況への理解を求めた。
負担がかかるのは隊員だけではない。那覇空港は国土交通省が管理する軍民共用空港であり、自衛隊機と民間機が滑走路を共用している。
2020年3月に供用を開始したB滑走路は、増加する航空需要に対応し、空港運用の負担を分散するために整備された。全長2700メートルのB滑走路で、今回を含めF-15のトラブルが相次いだことで、戦闘機の不具合が民間航空の運航に直結する状況が改めて浮き彫りになった。
原因究明と再発防止へ F-15Jの整備・運用体制を検証
2件の事案については、原因の徹底した解明が必要である。
8月の事案では主脚の損傷が確認され、9月の事案では油圧系統の不具合が確認された。表面化した不具合の内容は異なり、現時点で両事案を単一の原因で結び付けることはできない。
ただ、両事案でF-15が関係したことを踏まえれば、機体の整備状況や運用体制を含め、慎重な検証が求められる。
航空自衛隊のF-15Jは1980年代から配備が始まった。近代化改修は進められているが、初期に配備された機体は長期間にわたって運用されてきた。機体の経年化と今回の不具合との関係については、調査結果を待つ必要がある。
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