中国人型ロボット宇樹科技 上場後45%急落 株価バブル懸念広がる

2026/08/25
更新: 2026/08/25

中国の人型ロボットメーカー、宇樹科技(Unitree)は、上海証券取引所のへの上場初日、株価が公開価格の5倍超まで急騰した。その後は約45%下落した。急騰後の急落を受け、市場ではバブル化のリスクや個人投資家の損失、中国の新規株式公開(IPO)制度の問題点を懸念する声が上がっている。

ロイター通信は8月25日、宇樹科技の時価総額が一時660億ドル(約9兆9千億円)まで膨らんだ後、約300億ドル(約4兆5千億円)減少したと報じた。AIやロボット技術への期待が、同社の事業実態や収益力といったファンダメンタルズから乖離しているのではないかとの見方が広がっている。

宇樹科技は、四足歩行ロボットや人型ロボットを手がける中国の主要メーカーである。同社株の上場後の下落は、中国の上場制度をめぐる議論も呼んでいる。一部のアナリストは、この制度が株価形成をゆがめていると指摘している。

宇樹科技の株価は、上場翌日から3営業日連続で下落し、累計下落率は45%に達した。その後、25日には下げ止まった。

中国の資産運用会社、霊通盛泰(Lingtong Shengtai)の董事長、董宝珍氏は、「投資家は『技術革命』という物語に目をくらまされている」と述べ、「どのようなバブルも、いずれは崩壊する」と警告した。

人型ロボットの成長期待と収益力の乖離

ロイター通信は、宇樹科技の上場時の値動きについて、中国テクノロジー業界の実力や収益力を反映したものというより、市場のバブルを映し出していると報じた。

同社の利益は今年上半期に伸びの鈍化がみられた。宇樹科技のロボットは、走る、踊る、武術を披露するといった機能で注目を集めている。一方で、幅広い商業利用では十分な成果を上げていない。目論見書によると、2026年1〜3月期の調整後純利益は前年同期比53%減の4千万元(約8億4千万円、約595万ドル)だった。

中国欧州資本の董事長、張俊氏は、中国のIPO制度には、大株主が利益を確定する一方、流通市場で取引する個人投資家にリスクを転嫁できる抜け穴があると指摘した。

アナリストによると、投資家が宇樹科技のIPOに強く引き付けられた背景には、米中間の技術覇権競争がある。同社が中国政府から国家レベルの支援を受けているとの見方が市場に広がったためである。また、ハイテク企業向け市場である上海証券取引所の科創板(STAR Market)に迅速に上場できたことも、政府の後押しを受けているシグナルと受け止められた。

トリニティ・シナジー・インベストメンツのヘッジファンドマネジャ‌ー、袁玉偉氏は、「宇樹科技やDRAMメモリーチップメーカーの長鑫存儲(CXMT)のような企業が買われるのは、中国株式市場に質の高い企業が多くないためだ」と語った。

南方基金のファンドマネジャー、高興坤氏は、「多くのロボットメーカーが研究開発に巨額の資金を投じているが、現時点で商業受注の本格化は確認していない」と述べた。

宇樹科技への投資で損失を被った個人投資家の一人は、ブログに「イノベーションは支持する。しかし、短期間での富の蓄積が個人投資家の損失の上に成り立つべきではない」とつづった。

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