海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」は29日、巡航ミサイル「トマホーク」の実弾発射を初めて実施した。自衛隊と米海軍が連携して進める作戦能力向上の取り組みにおける重要な節目となる。
防衛省は30日、「ちょうかい」が太平洋海域でトマホークの実弾発射試験を行い、その際に米海軍の支援を受けたと発表した。試験では、同艦の新たな運用能力と乗組員の操作技能を確認したとしている。
「ちょうかい」は、トマホーク対地攻撃巡航ミサイルの運用能力を備えた海上自衛隊初のイージス護衛艦となった。
トマホークは米防衛大手レイセオンが製造する長距離対地攻撃兵器で、高亜音速で超低空を飛行し、複数の誘導システムを組み合わせて回避経路を飛行する能力を備える。海軍航空システム・コマンド(NAVAIR)によると、任務に応じて柔軟な飛行経路を選択できるよう設計されている。
今回の発射により、日本は水上戦闘艦からトマホークを発射した国として豪州、オランダに次ぐ3か国目となった。潜水艦からのみ運用する英国を含めると、トマホーク保有国としては4か国目となる。
防衛装備庁によると、試験では発射手順や関連する運用要領を含め、艦艇と乗組員が発射任務を適切に遂行できることを確認した。また、ミサイルが予定された目標に向けて飛行する過程についても検証したという。
一方、防衛装備庁は、米海軍との調整や日本の防衛能力保全を理由に試験の詳細は公表していない。試験海域や目標の種類、飛行距離、誘導手順、発射したミサイル数、使用したトマホークがBlock IVかBlock Vかといった情報は明らかにしていない。
「ちょうかい」は昨年9月に日本を出港し、米カリフォルニア州サンディエゴでトマホーク運用に対応するための改修を実施。今年3月に改修を終え、現地で米海軍と共同訓練を重ねてきた。9月に日本へ帰港する予定となっている。

海上自衛隊は29日、交流サイト(SNS)への投稿で、「米国サンディエゴに派遣中の護衛艦『ちょうかい』は、トマホーク運用に必要な教育・訓練に日々まい進している。抑止力・対処力のさらなる向上に向け、実任務に即応できる態勢の確立を着実に進めていく」と説明した。
今回のトマホーク発射は、海上自衛隊が米軍主導の演習で約1か月にわたり実施してきた実弾射撃訓練の締めくくりとなった。海自は先月27日以降、グアムで実施された「バリアント・シールド2026」と、ハワイで行われた「環太平洋合同演習(RIMPAC)2026」に参加し、退役艦艇を標的とする実艦撃沈演習(SINKEX)を含む複数の実弾射撃訓練を海外で実施している。
トマホーク導入は、2022年に策定された「国家防衛戦略」で打ち出された「反撃能力」の整備計画の一環だ。同戦略では、長射程のスタンドオフ兵器を導入し、遠距離から侵攻部隊を攻撃できる能力の構築を掲げている。
政府は今後、既存のイージス護衛艦7隻と建造中のイージス・システム搭載艦2隻についても順次改修を進め、トマホーク運用能力を付与する方針だ。
2024年1月に締結した契約に基づき、日本は計400発のトマホークを調達する計画となっている。今年3月には小泉防衛相が、米国から一部のトマホークを受領したことを明らかにした。
防衛省によると、小泉防衛相は「2025~2027年度にトマホークを導入する計画に変更はない。今後も米国と緊密に連携し、調達を着実に進めていく」と述べている。
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