中・低所得者の手取り増へ新制度 消費税減税を経て2029年に給付本格化

2026/07/31
更新: 2026/07/31

高市早苗首相は首相官邸で記者会見し、中所得・低所得者の負担軽減に向け、飲食料品にかかる消費税率を2027年4月から2年間、現在の8%から1%に引き下げる方針を表明した。2029年4月には、所得に応じて支援額を調整する「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入する。

高市首相は会見の冒頭、令和8年熊本地震で亡くなった人々に哀悼の意を示し、被災者に見舞いの言葉を述べた。

高市首相は、日本では税や社会保険料の負担から給付を差し引いた世帯収入に対する純負担率が諸外国と比べて高いとの見解を示し、物価高や負担に苦しむ中所得・低所得者への支援を最重要課題と位置付け、消費税減税と所得連動型給付を組み合わせる2段階の方針を示した。

飲食料品の消費税率は、2027年4月から2029年3月まで8%から1%に引き下げる。高市首相は、この措置を新制度導入までの「つなぎ」と説明した。税率を0%ではなく1%とするのは、事業者のシステム改修に必要な期間を短縮し、早期実施を可能にするためである。

改革の「本丸」は、税・社会保険料負担と現金給付を総合的に捉え、所得などに応じて支援する給付付き税額控除である。手取りを増やすとともに、収入増によって税や社会保険料の負担が増える「年収の壁」による就労控えを緩和する狙いがある。

制度は2029年4月に本格導入し、同時に飲食料品の消費税率を8%に戻す。公的機関が保有する情報を活用し、2027年6月以降に給付の一部を先行導入する方針も示した。

野党などからは、減税より現金給付の方が迅速ではないかとの意見が出ている。これに対し、高市首相は、公平な給付には本人だけでなく、配偶者や16~18歳の被扶養者の所得や情報を正確に把握する必要があり、制度やシステムの整備に時間を要すると説明した。過去の定額給付などでも自治体の負担が大きく、国民に届くまで数カ月を要したと指摘し、食品価格が高止まりする現状では、生活必需品の税負担を直接軽減する方が迅速かつ的確であるとの認識を示した。

施策には年数兆円規模の財源が必要となるが、高市首相は特例公債、いわゆる赤字国債には頼らないと明言した。租税特別措置や補助金をゼロベースで見直すほか、外国為替資金特別会計や独立行政法人からの納付金、各種基金を活用する。本年度の納付金などは約9兆円規模としている。

補正予算も真に緊急性の高い事業に限定し、これまで物価高対策として計上してきた予算の内容を見直して財源を捻出する。高市首相は、社会保障財源に穴が開くことはないと強調した。

税率が2年後に1%から8%へ戻ることで家計負担が急増するとの懸念については、2029年度からの給付により、中所得・低所得の現役世代の大半は消費税減税の効果を上回る支援を受けられると説明した。制度の対象外となる低所得者については2029年までに対応策を決定する。

また、対象外となる高齢者についても既存の年金制度などと連携し、次期年金法改正が予定される2030年までに結論を得ることで、支援から取り残されないようにする。

実現すれば、消費税導入以来初の消費税減税となる。高市首相は、将来の感染症や大規模災害に備え、欧州のように税率を柔軟に変更できる仕組みを構築する「新たな挑戦」であると述べた。政府は8月上旬に政府・与党の方針として決定し、9月に大綱をまとめ、臨時国会への法案提出と早期成立を目指す。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます