台湾の頼清徳総統は、今月11日に急逝した米共和党のリンゼー・グラム上院議員の死去を受け、「台湾にとって真の友人だった」として深い哀悼の意を表明した。
頼総統は12日、自身のX(旧ツイッター)で「グラム議員の突然の訃報に深い悲しみを覚えている」と投稿。「台湾の真の友人であり、自由を揺るぎなく擁護し続けた人物として永遠に記憶されるだろう。この困難な時期に、ご家族やご友人の皆様に心よりお悔やみを申し上げる」と述べた。
蕭美琴副総統も同日、Xへの投稿でグラム氏を「台米間の貿易・安全保障協力を力強く支え続けた支持者であり提唱者」と称え、「安らかに眠られますように」と追悼した。
グラム氏は11日、短期間の急病のため死去した。71歳だった。事務所はその後、予備的な検視結果として、動脈硬化性心血管疾患に起因する大動脈解離、すなわち大動脈破裂が死因だったと発表した。
同氏の死去を受け、ウクライナのゼレンスキー大統領、イスラエルのネタニヤフ首相、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長ら、各国首脳から追悼の声が寄せられている。
台湾総統府の郭雅慧報道官は12日の声明で、グラム氏がこれまで3度台湾を訪問したことを紹介した。このうち2022年には超党派の米議会代表団を率いて訪台した。
郭氏は「在任中、台湾を支持する法案の推進や台湾の国際参加への支援、自衛能力の強化の提唱、さらに台米間の経済・貿易関係の深化に尽力した」と、その功績をたたえた。
2022年の訪台では、当時の蔡英文総統と会談し、台北で開かれた共同記者会見で「今回の訪問は台湾への支持を示すものであり、台湾は米国で超党派の支持を受けている」と強調した。
グラム氏はその際、「米国は政治的に分断されている。しかし台湾に関しては団結していることを知ってほしい」と述べた。
そのうえで、「中国共産党が台湾への挑発を強めた場合、米国はどうするのかとよく問われる。私は、われわれは大切な価値を守るために立ち上がり、台湾と共に立つと確信している」と語っていた。
また、「台湾を見捨てることは民主主義と自由を見捨てることであり、自由貿易を放棄することでもある。それは人類の最悪の行為を助長することになる」と強調した。
グラム氏は2016年にも、故ジョン・マケイン上院議員が率いる米議会代表団の一員として台湾を訪れ、蔡総統と会談していた。
蔡氏も13日、Xで「グラム議員の訃報に大きな悲しみを覚えている」と投稿。「台湾の真の友人であり、台湾の自由と民主主義を原則に基づいて支えてくれた人物だった。台湾、米国、そして世界中の友人たちから惜しまれる存在となるだろう」と追悼した。
蔡氏は2016年5月から2024年5月まで2期8年にわたり総統を務め、その後任として頼氏が就任した。両氏はいずれも与党・民主進歩党に所属している。
中共は台湾を自国の一部と位置付けており、台湾の主権を擁護する蔡氏と頼氏を「分裂主義者」と繰り返し非難している。
グラム氏は2023年12月、習近平が米サンフランシスコでの首脳会談で、当時のバイデン米大統領に対し、台湾を「平和的な手段で統一する」と伝えたとするNBCの報道を受け、「極めて不穏な内容だ」と強く批判した。
その上で、「中共が台湾の武力奪取に踏み切れば、侵攻前の段階で『地獄のような制裁』を科す法案を超党派で策定する」と表明した。
今年3月には、グラム氏を含む超党派の上院議員らが「台湾を含む近隣民主国家への侵略者制裁法案」を提出した。
同法案は、中共が軍事行動など台湾の安全を脅かす行為に及んだ場合、中共に対して広範な経済、金融、エネルギー、貿易制裁を発動する内容となっている。
また、中共幹部や中国の金融機関、国有・政府系組織を制裁対象とし、中共と関係する企業への米国からの投資を制限するほか、中国製品への関税引き上げも盛り込んでいる。
台湾最大野党の中国国民党も7月13日、Xへの投稿でグラム氏の死去に哀悼の意を表明した。
同党は「台湾の民主主義と安全保障を力強く支えた人物であり、その揺るぎない友情と長年にわたる支援は永く記憶されるだろう」と述べた。
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