トランプ大統領が進める戦略物資の国内サプライチェーン再構築は、重要な局面を迎えている。国防産業における中国依存の解消に向け、アメリカ陸軍は民間企業による軍事基地への進出を初めて認め、レアアースなど重要鉱物の加工体制の整備を進めている。
REalloys社の最高経営責任者、レオナルド・スターンハイム氏は6月30日、FOXビジネスのインタビューで、この取り組みについて説明した。
プラセオジムやテルビウムといった重レアアースは、F-35戦闘機や精密誘導ミサイル、潜水艦、無人機など、先端の防衛装備に不可欠な素材である。鉱床は複数の国に存在するが、精製や加工の能力は長年にわたり中国に集中してきた。
カリフォルニア州選出のロ・カンナ連邦下院議員は同番組で、「中国共産党は重レアアースの加工から磁石製造まで、サプライチェーン全体を支配している。この状況は容認できない」と述べた。
こうした状況を受け、アメリカ陸軍は大統領令第14241号(米国の鉱物生産を増やすための緊急措置)に基づき、「陸軍戦略資本イニシアティブ」を通じて、軍事基地を商業利用の重要鉱物加工拠点として開放すると発表した。REalloysは独占交渉権を取得し、ユタ州のトゥーエル陸軍基地で重レアアースの加工施設を建設する計画である。
REalloysの計画と「鉱山から磁石まで」戦略
事業は、いわゆるライトアセット型の方式で進められる。軍は用地を提供し、REalloysが資金調達や建設、運営を担う。賃料は市場価値に基づき、基地インフラの整備など現物で支払われる仕組みである。
スターンハイム氏は、「不足しているのは鉱石ではなく、加工や精製の技術である」と指摘する。施設ではプラセオジムやテルビウムの精製を行い、カナダなど同盟国からの原料を活用して、「鉱山から磁石まで」の一貫した供給体制の構築を目指すとしている。供給先には米軍のほか、国防兵站局やエネルギー省、NASAなどが想定されている。
この取り組みはREalloys単独ではなく、国防総省と陸軍が複数の企業を選定して進めている。Titan Mining(タイタン・マイニング)などの企業は、弾薬やミサイル、レーダー、軍用バッテリーに必要な金属の国内生産の回復に取り組んでおり、相互に補完する形で供給体制の強化を図る。
2027年規制とサプライチェーン転換の期限
基地整備は、早ければ2027年に開始、2028年までに初期運用能力の確立が見込まれている。この時期は、アメリカの国防調達規則の期限と一致している。2027年以降、国防関連の製造では中国由来のレアアースなどの使用を禁止する見通しである。
スターンハイム氏は、「軍との連携によって安定した供給体制が確立される」と述べ、海外依存の解消に期待を示した。
トゥーエル陸軍基地は、これまで国防物資や戦略備蓄の拠点として重要な役割を担ってきた。かつては大規模な化学物資の貯蔵施設が置かれ、全米の約半分に相当する化学兵器の保管や廃棄を行っていた。
この冷戦期の拠点は現在、レアアースや防衛関連金属の加工拠点として再編を進めており、新たな役割を担いつつある。
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