パリG7 重要鉱物における中国の支配力に反旗

2026/05/10
更新: 2026/05/10

G7貿易相会合が今週、パリで2日間の日程を終えて閉幕した。採択された共同声明では、中国を名指しすることは避けつつも、重要鉱物のサプライチェーンにおける中国の支配を牽制し、「経済的依存の武器化」と呼ぶ試みに対抗する意欲を鮮明にした。

5月5日から6日にかけて、フランスのG7議長国のもとで開催されたこの会合は、防衛システム、電気自動車(EV)、半導体、産業製造に不可欠なリチウム、コバルト、レアアースなどの供給を中国に依存している現状を標的とした。今回の協議は、6月中旬にフランスのエビアンで開催予定の首脳サミットに向けた布石となった。

5月7日に発表された声明の中で、貿易相らは「恣意的な輸出制限を通じた威圧を含む経済的威圧に対する重大な懸念」を表明し、「経済的威圧を抑止し、必要に応じて行動をとる準備を整える」と誓った。

また、非市場的な政策や慣行、産業補助金、強制的な技術移転をG7による協調対応の対象として特定したが、文書の中で中国を直接名指しすることは控えた。

今回のパリ会合は、米国と欧州連合(EU)の間で新たな貿易摩擦が生じているさなかに開催された。トランプ米大統領は先週、2025年夏にスコットランドで合意された「ターンベリー通商合意」をEU側が履行していないとして、EU製自動車への関税を15%から25%に引き上げる意向を示している。

議長を務めたフランスのニコラス・フォリシエ対外貿易相は記者団に対し、この発表はターンベリー合意の履行を「前進させ続けるための呼びかけ」であると述べた。また、EUのマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員は、ジェイミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表と「ターンベリーでの合意を双方が尊重することが重要である」との認識で一致したと語った。

しかし、フォリシエ氏は、重要鉱物が今回の協議における「間違いなく主要な議題の一つ」であったことを強調した。

重要鉱物に関する常設機関の設置へ

G7各国は、重要鉱物に関するイニシアチブを議長国の交代に左右されず継続させるため、常設の事務局設置を検討している。この機関は、いずれもパリに本部を置く国際エネルギー機関(IEA)または経済協力開発機構(OECD)内に設置される可能性がある。

フォリシエ氏は構想を認めたものの、フランスは新たな機関を創設するのではなく、閣僚の直接的な権限下にあるスリム化されたタスクフォースを目指していると強調した。同氏は、この計画を米国主導の「インド太平洋貿易・重要鉱物(ITCM)」イニシアチブを補完するものであり、「共通のツールボックス」の構築に向けたものだと説明した。

4月24日にワシントンでマルコ・ルビオ米国務長官とシェフチョビッチ氏の間で署名された覚書は、すでに大西洋間の協力の柱となっている。そこでは、中国などの安値攻勢を防ぐための「輸入価格の下限設定」や、環境・人権などの「基準を満たした製品を扱う市場」の創設が検討されている。さらに、高コストな自国生産を支えるための「価格差の補填(補助金)」や「共同調達」なども盛り込まれており、早ければ年内にも、価格下限設定に関する試験的なプロジェクトが開始される見通しだ。

フランスの地政学アナリスト、ジェラール・ヴェスピエール氏は大紀元(The Epoch Times)に対し、事務局の提案を「非常に優れたアイデア」と評し、探査や精錬技術の向上に関する調整は有益であると主張した。

一方、独立系シンクタンク「IPSE(Institute for Prospective and Security in Europe)」の所長を務めるエマニュエル・デュピュイ教授は、冷ややかな見方を示している。

同氏は、米欧の関税紛争が大西洋の団結を揺るがしている現状において、今回の発表は実質よりも演出の色合いが強いと指摘した。「経済が依存している重要物質やレアアースにおける中国の支配に対し、欧米の結束を印象づけ、米商務長官を喜ばせたいという意図があったのだろう」と語った。

また、同氏は「アフリカで重要物質を採掘できる、あるいは採掘する意欲のある欧州の鉱山会社はほとんど存在しない」こと、そしてG7には他の欧州諸国が含まれていないことも指摘した。

G7の声明では、レジリエンス(弾力性)基準、透明性メカニズム、多様化の要件、価格差補助金による収益の安定化、共同調達手段、そして割当制や価格下限設定といった貿易関連措置など、検討されている具体的なツールが特定された。

これらの措置が拘束力のある公約に発展するかどうかは、来月のエビアン・サミットでより明確になる見通しだ。

パリ・ドフィーヌ大学の経済史家であり、商品市場の専門家としてフランス議会の調査委員会でもたびたび証言しているシャルマン氏は、インタビューに対し、欧米は「自ら中国の断頭台に首を差し出したようなものであり、それを引き抜くのは至難の業だ」と述べた。

「なぜ中国が重要鉱物市場で支配的なのか。それは、我々が躊躇した投資を中国が行ったからだ」とデュピュイ氏は指摘する。「政治指導者たちは、30年前に産業上の選択を誤ったことにようやく気づいたのだ」

中国共産党による産業上の締め付け

シャルマン氏によれば、重要鉱物における中国の優位性は、数十年にわたる意図的な戦略の結果である。

「中国は、特定の重要な産業分野に狙いを定め、まずは原料となる鉱山の採掘権を世界各地で手に入れた(上流工程の支配)。その上で、採掘した原料を製品に使える状態にする『精錬・加工』の拠点を中国国内に集中させた。これにより、原料から加工までの一連の工程を自国で完結させ、他国が介入できない支配体制を築き上げたのだ」と同氏は分析する。

また、シャルマン氏は、欧米の苦境は自業自得の側面が大きいとも述べた。

依存の原因は、環境活動家からの圧力を受けて「我々自身が下した決定」にあるという。欧米の政府は、これらの鉱物が将来どれほど戦略的に重要になるかを理解していなかった。当時は、精錬工程で発生する深刻な環境汚染を、自分たちの国で引き受けるのではなく、中国に押し付けることで満足していたからだ。つまり、自国の環境をきれいに保ちつつ、コストの安い加工を中国に任せきりにするという、安易な選択を続けてきた結果である。

レアアースは、旧東側諸国、アジア全域、南米、南アフリカ、豪州、米国など、世界中に存在している。課題はその含有率の低さにあり、それが「希土類(レアアース)」と呼ばれる所以だ。例えば1キログラムのルテチウムを得るためには、1,200トンの岩石を粉砕する必要がある。

2024年、中国は直接・間接を合わせて約27万トンのレアアースを採掘し、これは世界生産量の約70%を占めたが、精錬工程においては世界シェアの90%以上を握っている。

中国の優位性を崩す上での最大の技術的障害は、採掘ではなく加工工程にあるとシャルマン氏は指摘する。「ボトルネックは鉱山ではなく、冶金なのだ」

中国は現在、レアアース、コバルト、リチウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモンなどの加工において、支配的または独占に近い地位を築いている。

国際エネルギー機関(IEA)は2025年の年次報告書で、こうした独占状態がもたらすリスクを警告した。「エネルギー関連の戦略的鉱物20種のうち19種において、特定の単一国家が支配的な精錬国となっており、その平均市場シェアは約70%に達している」

「これらの鉱物は電力網、電池、EVに不可欠であるだけでなく、AIチップ、ジェットエンジン、防衛システム、その他の戦略産業においても極めて重要な役割を果たしている」とIEAは付け加えた。

米国地質調査所(USGS)によると、2023年時点で米国のレアアース供給はほぼ完全に海外に依存しており、輸入の約70%を中国が占めている。

フランス語大紀元記者。