アジアの供給網防衛へ 高市首相が新枠組み「パワー・アジア」 中国の資源独占に対抗

2026/04/17
更新: 2026/04/17

中東情勢の緊迫化と中国による資源の囲い込みリスク

現在、イランを巡る情勢悪化などにより、世界のエネルギー供給に深刻な不安が広がっている。とりわけアジア地域はホルムズ海峡からの資源供給への依存度が高く、供給網の寸断リスクに直面している状態だ。 さらにこの危機に拍車をかけているのが、特定国による資源の独占である。米国のベッセント財務長官は14日、中国共産党がイラン戦争期間中に国際エネルギー機関(IEA)加盟32か国分に相当する膨大な石油を備蓄し、一部商品の輸出を制限したと指摘した。他国を石油不足に陥れるこのような振る舞いは「信頼できない国際的パートナーの行動」として米政府から強く非難されており、アジア地域におけるエネルギー供給リスクを一段と高めている。

日本国民の命と経済を脅かす医療物資等の供給寸断

こうしたエネルギー不足やサプライチェーンの混乱が起きれば、日本社会は直接的な打撃を受ける。 高市首相は16日のXへの投稿で、人工透析患者に用いる器具、手術に必要な廃液容器や手袋といった日本の医療現場に不可欠な物資を、アジア諸国からの供給に大きく依存している実態を明かした。中東の混乱や大国による資源の独占によってアジアで燃料不足や生産・物流の停滞が生じれば、日本への医療物資の調達に支障を来し、国民の命や経済社会に甚大な悪影響を及ぼすことになる。

アジアと日本はサプライチェーンで運命を共にしている

これらの脅威の根底にあるのは、日本を含むアジアの経済がサプライチェーンを通じて深く相互に結びつき、依存し合っているという構造である。一国だけで地政学的リスクや資源の囲い込みに対抗することは困難だ。 高市首相がXの投稿で「アジアのサプライチェーンを支えることが、そのまま日本経済の強化にもつながる」と言及している通り、アジア地域全体の供給網やエネルギー基盤を強靭にすることなくして、日本自身の安全保障と経済成長は成り立たないのが本質的な課題である。

新枠組み「パワー・アジア」と「AZEC2.0」による強靱化

この構造的課題を克服するため、高市首相は4月15日にAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)パートナー国(豪州、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)のほか、韓国、インド、バングラデシュ、スリランカ、東ティモール、国際エネルギー機関(IEA)、アジア開発銀行(ADB)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を交えた「エネルギー強靱化に関するAZEC+オンライン首脳会合」を主催し、新たな協力枠組み「アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア:POWERR Asia、Partnership On Wide Energy and Resources Resilience Asia)」の創設を発表した。 この枠組みは、約100億ドル(約1.5兆円)規模の金融協力を通じて、以下2つのアプローチでアジアを支援するものである。

  • 緊急対応: 原油や米国産代替原油などの調達、およびサプライチェーン維持のための融資などの資金繰り支援。
  • 構造的対応: アジア域内の原油備蓄日数を増やすための備蓄・放出制度の構築や、備蓄タンクの建設・利用に向けた支援。

さらに日本は、既存の「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」に経済・エネルギー強靱化の視点を加えた「AZEC2.0」へと進化させる方向性を提案し、参加各国の賛同を得た。一連の取り組みにより、世界の成長センターであるアジアをより強く豊かな地域へと押し上げ、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の具現化を目指す方針である。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。