中共はなぜ「日本の首締め」に急ブレーキをかけたのか

2026/02/17
更新: 2026/02/17

日本の高市政権が進める台湾海峡政策に報復するため、中国共産党(中共)は1月6日、「日本への両用物項(軍民両用製品)の輸出管理を強化する」と高らかに発表した。その範囲はレアアース(希土類)やレアメタル、電子機器など数百種に及んでいた。

中共の発表は強硬な口調で、「即日発効」と強調したうえ、「日本の軍事用途にかかわるものはすべて禁止」と明言していた。

中国国内ではこの方針が「日本の首を締める」という刺激的なスローガンとして喧伝された。強硬姿勢を見せ始めたかに見えたが、その直後に方針を撤回する形となった。

急ブレーキの理由:日中経済相互依存

共同通信の報道によれば、複数の貿易関係者の証言として、中共が報復実施を宣言した直後から、関連部門がすでに複数の日本向けレアアース輸出を承認しており、その中には先に名指しされていた7種類のレアアース元素も含まれていたという。つまり、「首を締める」報復措置は実行前に密かに解除されていた。これは国際外交の舞台でも極めて異例な対応である。

では、なぜ中共は「日本の首を締める」と大々的に構えた直後に、急いでブレーキを踏んだのか。

筆者の見解では、日中関係および台湾問題が極めて敏感な状況下において、1月初めに中共が発表した「対日両用物項・レアアース・レアメタル輸出管理の強化」は、経済的判断というよりも政治的シグナル行動であった。

目的は三つに集約できる。第一に、国内のナショナリズムをなだめ、「強硬で一歩も引かない」姿勢を示すこと。第二に、日本やその同盟国への威嚇信号として「中国には対抗手段がある」と誇示すること。第三に、交渉カードを作り、後の駆け引き余地を残すことである。すなわち、この発表は実際の経済効果よりも象徴的な意味がはるかに大きかったのである。

レアアース「両刃の剣」と脱中国化リスク

経済現実の側面に戻れば、中共にとってレアアースは「両刃の剣」である。

というのも、中国はレアアース産業全体で絶対的優位を持っているわけではなく、日中両国は実際には相互依存の関係にある。レアアースと聞けば中国の「切り札」と思われがちだが、その強みは採掘と精錬の段階に限られる。一方で、高機能素材、精密加工、半導体装置、車載電子、磁性材料といった分野では、日本が要の位置を占めている。

中国は確かに大量の原料と精錬能力を保有するが、輸出収益は下流の需要と密接に結びついており、日本への供給を全面的に停止すれば、中国企業の収入は急減する。その結果、世界の買い手はリスク回避(デリスキング)を加速させ、オーストラリア、アメリカ、ベトナム、インドなどの代替供給源へ移行するだろう。こうして技術と資本が国外に流出し、中共のレアアース主導権は長期的に弱まるのである。

要するに、中共が被る損失のほうが、日本よりもはるかに大きい。

戦略的な視点から見ると、近年、世界のレアアース供給網は再編の途上にあり、「中国+1」戦略、重要鉱物の多元化、政府による国内精錬・加工への補助金、安全保障備蓄制度の整備といった動きが広がっている。

こうした背景のもとで、中共がもし本当に日本への供給を全面停止すれば、その結果は短期的な圧力の成功ではなく、「脱中国化」と「不可逆的なデカップリング(分断)」の加速となる。すなわち、市場の永久喪失、技術代替の加速、政治同盟の強化という連鎖反応を招くことになる。

それは何を意味するか。すなわち、「レアアースカード」の威力が明確に低下するということである。

言い換えれば、中共にとってレアアースは「使えるが乱用できない」道具であり、濫用すれば日本が恒久的に中国依存を脱する結果を招く。それこそ中共が最も恐れる危機である。

分析筋が指摘するように、対日レアアース禁輸の取り消しは単なる政策修正ではなく、一連の読み違いの末に中共が「小を捨てて大を守る」ために取らざるを得なかった措置である。

中共は世界の産業チェーンからの「脱中国化」を恐れており、その結果、レアアース問題では日本に対し「譲歩」せざるを得なかった。

滑稽なのは、中共がレアアースで日本の首を締めようとした本来の目的が、歴史的憎悪と民族感情、さらに経済的威圧を掛け合わせた「三位一体の切り札」で高市早苗氏を打撃しようとすることにあった点である。ところが、結果的に自らの身を傷つけることになった。

そして、中共が急ブレーキをかけたことで、日本の政界・財界が改めてはっきりと認識したのは、中国共産党が実のところ「張り子の虎」にすぎない、という事実である。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
千百度