就職難が深刻化する中国では、各地の民間企業が求職者に対し、「無給試験採用(無給試用)」を強要する現象が目立って来ている。
競争が激しいなか、「無給試験採用」とまでいかなくても、「就職難のこのご時世で、少々無理な事を言っても断る勇気はないだろう」といった求職者の弱みに付け込んだ不当な扱いが常態化していたのだ。
「無給試験採用(無給試用)」
3月27日、中国のポータルサイト「百度」でこの無給労働の話題がトレンド入りした。
中国メディア「極目新聞」は、遼寧省瀋陽市内の複数(民間)企業が、求人の際に「試験採用期間(試用期間)」を名目に、無給での労働を求めていると報じたのだ。
例えば、同市内の教育機関では、講師職に応募する際、7日間の無給試用を義務付けている。また、警備員を募集する会社では1~3日間の無給試用を実施。いずれも試用通過後でなければ正式雇用はされないと言う。
瀋陽市で複数の企業の面接を受けた王さんは、「メディア運営や動画制作アシスタントなど、多くの仕事に応募したが、どの仕事も無給での試験採用(試用)を求められた」と明かした。
一般的ないわゆる「試用期間」は3~7日間となっており、不合格の場合は、その間の労働に対して、一切報酬が支払われない。

無給試用は「違法」
この問題について、趙良善弁護士(法律事務所「陝西恒達律師事務所」所属)は、「法律では『試用期間』は認められているが、『無給試用』は存在しない」と指摘している。
つまり、企業が独自に定める無給試用は違法であると言う。
そのため、求職者は正式雇用と同等の報酬を請求する権利があり、労働監察部門への通報や労働仲裁を申請できると、趙弁護士は言う。
全国的に広がる無給試用の実態
関連話題には、各地のネットユーザーによる「同様の経験談」が殺到した。
「重慶でも同じことやっている」「南昌も同じだ」「これは全国的な問題だ」という声が相次ぎ、無給試用が瀋陽に限らず、中国各地で横行している実態が浮き彫りになった。
瀋陽市のネットユーザーは、「90%以上の企業が無給試用を求め、3~7日間は給与なしで働かされ、試用通過後になってようやくその期間が給与に含まれる」と、実態を明かした。
さらに、「残業代が支払われないのは日常茶飯事」と、労働環境の悪化を訴える声も多い。
今後も経済停滞が続けば、求職者の立場はますます弱体化し、不当な労働慣行が常態化する恐れがいよいよ濃くなると言う。

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