中国経済の低迷に伴い、飲食業界や不動産業界では、サクラを使った詐欺的商法が横行し、そんな中、西安市の人気観光地・回民街で発覚したある飲食店のヤラセ行為が、ネットで話題になっていた。
「サクラ」発覚のきっかけは、店前の行列を動画で記録した観光客による告発である。
観光客の女性は、3月16日午後4時と5時に「大繁盛」の肉夾饃(ロウジャーモー、中国式ハンバーガー)店前の様子を好奇心からなんとなく、撮影した。後から映像を見返してみると、同じ服装・靴の人物が何度も列に並んでいたことに気づいたと言う。
そして翌日再度訪れると、前日と同じ「客」がまた並んでいた。女性はこれら「客」の尾行を決行し、「客」たちが商品購入後に、店の裏で商品を戻して、辺りをぶらぶらした後、再び列に加わっていたことを確認したと言う。
市民はSNS通じて、「このような不正行為は消費者を欺くものだ、政府は対策を講じるべきだ」
と、訴えた。
(長蛇の列ができる中国・西安の人気グルメ店、回民街「老馬家肉夾饃」前の様子)
全国的に横行する「サクラ商法」
この手法は、西安に限った話ではない。中国全土の観光地で飲食店がサクラを雇い、行列を演出するケースが急増している。
さらに、不動産業界でも同様の手口が蔓延している。例えば、マンションのモデルルームには「購入希望者」を装ったサクラが集まり、販売好調を装う。こうした「購入希望者」を装うアルバイトは、一日200元(約4千円、昼食と飲み物込み)程度で雇われることが多いという。
経済的苦境により、こうした詐欺行為が横行する一方で、当局は取り締まりに消極的だ。
経済不況とモラルの欠如が絡み合う中、中国では消費者の信頼が損なわれ続けていた。
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