沖縄県議会の2025年2月定例会が12日に開会したが、異例の展開となった。県が提出した2025年度の一般会計当初予算案に、問題点が指摘されているワシントン事務所の経費が盛り込まれていたことに野党が反発し、予算案を県側に差し戻す動議が可決された。当初予算案が差し戻されるのは県議会史上初めてのことである。
定例会は当初、午前10時に開会予定だったが、野党側の反発により約4時間15分遅れの午後2時15分に開会した。開会後、玉城デニー知事が所信表明を行い、2025年度の県政運営について述べた。
玉城知事は所信表明で、「戦後80年を機にこれまでの歴史を振り返り、先の大戦における犠牲者を追悼するとともに、長期的な視点に立って将来を見据えながら、未来へ向け、平和で豊かな沖縄を実現するため、心を込めて全力で取り組んでいく」と述べ、平和祈念事業を通じた国内外への発信強化に全庁体制で取り組む考えを示した。
しかし、県が提出した2025年度の一般会計当初予算案には、設置や運営に問題点が指摘されているワシントン事務所の経費として約3900万円が計上されていた。これに対し、野党の自民党・無所属の会が反発。大浜一郎県議が「我々は到底こうした違法状態が是正をされていない法人の存在を前提とした予算議案を審議することはできません」と述べ、予算案を「議会において議決すべきでない」とする動議を提出した。
採決の結果、自民党と公明党の賛成多数で動議が可決され、当初予算案は県側に差し戻されることとなった。県議会で当初予算案が差し戻されるのは初めてのことである。
この事態を受け、玉城知事は「引き続き事実関係について丁寧な説明に努め、議会における審議、議論、審議の結果について県としても真摯に対応していきたい」とコメントした。
県は今後、修正した予算案の再提出や、議会の審議を経ない専決処分など、対応を検討することになる。2025年度予算案の年度内成立は見通せない状況となっており、県政運営への影響が懸念される。
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