21日、中国江蘇省常州市にあるショッピングモール「泰富時代広場」の2階歩行者用連絡通路が崩落した。「負傷者はいない」とされている。
崩壊現場の様子を映した動画がSNSで拡散されており、「またおから工事か!」「いつまでこんな事故続くんだ!」といった怒りの声がまたしても広がっている。
動画のなかには、「爆弾でも落とされたのか」と見間違うほどの変わり果てた「連絡通路」の様子があった。ガラスなどの建材が周囲一面に散乱し、破裂した水道管らしきものから水が吹き出している。
現場付近の住民によると、
「崩落が起きたのは朝の8時ごろで、まだ早い時間帯で店も営業時間前だったから、幸い人的被害は抑えられて、本当によかった」
という。
崩落当時に現場を通りかかったという別の目撃者は、
「あの時、恐怖のあまり直接泣き出しちゃったよ。本当に突然過ぎて、崩落までわずか2分前後だ、ほんと、自分も死にかけた。あの瞬間、命より尊いものはないと感じたよ」
と振り返った。
中国メディアによると、現地では台風も来ていないし、工事をしたわけでもないという。連絡通路は崩落したが、ショッピングモールは正常に営業中だという。
崩落が起きた原因については、事故発生から3日経ったいま(24日時点)も「調査中」とされており、中国メディアによる後追い報道もない。
(崩落現場の様子)
どこまでも続く「手抜き工事」による事故
中国で欠陥住宅を無数に生み出してきた手抜き工事は、触れると手で砕けるほど脆いことから「おから工事(豆腐渣工程)」と呼ばれている。安全性も保証されない安いだけの得体の知れない材料を使用して、表面的な体裁だけ整えて、工事完了。浮いたお金は業者のポケットに入れるというわけだ。
そのような現象がはびこる原因として、拝金主義の横行、住宅の品質や企業の社会的責任よりも利益の追求を優先する風潮が挙げられる。こうした「おから工事」は、共産党統治下の中国では以前から大きな社会問題となっている。
その「品質のひどさ」は、まさに桁外れである。排水管の亀裂、天井や電気系統の欠陥、壁のひび割れ、あらゆる箇所からの水漏れ、さらにはガラス窓が「窓枠ごと外れる」など、とても新築物件とは思えないようなものばかりだ。
そのほか、「指一本で穴があく」という石膏ボードのようなコンクリート壁、足で踏むと「砕ける」階段、さらには「鉄筋の代わりに竹を使用した住宅」など、とても信じ難いものもある。
今回の崩落も、こうした工事不良が原因の可能性が高いとされており、このような事故はもはや「見慣れたもの」ではあるが、中国市民の間では「またか、こんなこといつまで続くんだ」という不安が広がっている。
ネット上では嘆きの声が広がるともに、「老朽化していたにせよ、おから工事だったにせよ、中国は世界一安全な国だ」の皮肉が多く寄せられている。
というのは、何を根拠にそう言うかは不明だが、中国当局は自国を「世界一安全な国」と主張しているため、おから工事や強制臓器摘出などの事件が発生するたび、必ずといっていいほど「中国は世界一安全な国だ」の揶揄がもはや定番化してきている。
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