公安局高官が親族を庇護 「故意殺人」容疑者を野放し 告発した市民を逆に逮捕=中国・福建省

2024/04/16
更新: 2024/04/16

中国福建省の公安局高官が「故意殺人」容疑の親族を庇護して陳情する被害者家族を逆に逮捕していたことがわかった。

福建省寧德市に住む李穗財さん(女性)は息子をバイクで轢き殺した男とその男を庇った現地公安局副局長らを告発するために、陳情民になった。しかし、正義を求めて歩み始めたその陳情の道は険しく、弾圧や迫害が絶えない。

今年2月19日、地元の友人の経営する店にいた福建省寧德市の李穗財さん(58歳)は店に押し入った現地公安局の私服警官に連行され、刑事拘留された。

李さんの事情をよく知る同じ村に住む陳情民仲間の陸祚玉さんはNTD新唐人テレビに対し、李さんは「騒乱挑発罪で逮捕され、いまは地元・寧德市の留置場で拘束されたと明かした。

「騒乱挑発罪というけれど、最初から『ポケット罪』だと弁護士も言う案件だ」という。

「騒乱挑発罪(尋釁滋事罪)」とは、中国で幅広い摘発に使われる罪名で、当局がポケットに物を入れるように気軽に人を罪に問えるという意味で、「ポケット罪」との呼び名がついた。

バイクで轢き殺された息子のために正義を求めて事件情報が載った掲示物を広げる福建省寧德市の陳情民・李穗財さんと、彼女を阻止する警官。(NTD新唐人テレビの報道番組より)

「故意殺人」容疑者を野放し

李さんの息子とその恋人は2015年、莫明輝という名の男が運転するバイクにはねられて死亡した。李さんの息子の恋人は容疑者・莫明輝の元恋人だった。

しかし、莫は警察署で取調べだけで済まされ、すぐに釈放された。複雑な人間関係から、この「事件」は故意殺人の疑いが濃厚であることは誰の目にも明らかだった。

殺人容疑濃厚な容疑者がいまも野放しになっているのにはある理由があったという。事故当時の寧德市屏南県公安局の高官(交通警察の副局長)の林松濤は、容疑者・莫明輝のおじさんである。莫が起こした「事件」の後始末は、その「おじさん」が指定する警官の手で処理された。

その結果、容疑者は「事故」の責任も含め、容疑者は一切罪に問われておらず、今ものうのうと暮らしている。

死亡「事故」を起こした容疑者・莫明輝。(NTD新唐人テレビの報道番組より)

「この事件には多くの疑問点と手抜かりがある」として李さん家族は警察の裁決を不服とし、直訴するために陳情の道を歩み始めたが、陳情民になった李さんはこれまでに何度も不当に監禁されてきた。

この件について、米国在住の中国人権弁護士の吳紹平氏は、NTD新唐人テレビの取材に対して次のように指摘した。

「法律に頼って、自分の正当な権利と利益を守ろうとする行為自体は正常な国であればどこの国であっても奨励され、支持されるはずだ。しかし、中国では違う。中国市民は権利擁護をする過程では、いかなる犯罪行為も存在しないにもかかわらず、騒乱挑発罪のような『ポケット罪』で弾圧され、迫害されている。この点からも中国共産党政権のごろつき的な本性を浮き彫りにしている」

バイクで轢き殺された息子のために、正義を求めて陳情民になった福建省寧德市の陳情民・李穗財さんによる投稿。(NTD新唐人テレビの報道番組より)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!