街中に「移動式火葬車」が再登場 「臓器狩りを連想する」との不安広がる=中国

2024/01/12
更新: 2024/01/12

このごろ、中国の街中に各種の「移動式火葬車」が再び登場した。表向きは「ペット用」である。後部に火葬炉を積載し、不特定の場所へ移動してペットの火葬を行える機能をもつ自動車である。

しかし、本来の目的に則した管理が難しく、身勝手な(人間の)遺体焼却や犯罪の証拠隠滅に利用されるリスクが高いとされる。そのため一時は影をひそめていたが、それが最近になって再登場している。民間では、批判と使用反対の声が巻き起こっている。

最近、中国のネット上では、様々なタイプの移動式火葬車の販売キャンペーンが行われている。いずれも表向きには「ペット用火葬車」と称しているものの、なかには1回で60~75キログラムの体重の「モノ」が火葬できる機種もある。

ネット上では「こんなに大きい(重い)ペットとは、いったい何だ。どう見ても人間用じゃないか」「これだから、失踪者は遺体が見つからないのだ」といった、身の毛がよだつようなコメントが目立つ。

なかには、犯罪の証拠隠滅に利用されるリスクもあるため、移動式火葬車の合法化に抵抗する声も少なくない。

NTD新唐人テレビの取材に応じた北京市民の李さんは、次のように言う。

「今は感染症の爆発で、あまりにも多くの人が死んでしまった。今後も、感染症に加えて(中国産の新型コロナ)ワクチンによる後遺症などで、より多くの人が死ぬだろう」

「いまや北京市に限らず、各地の火葬場で満員状態が続いている。火葬炉の増設工事を行っているところも少なくない。そこへ、この移動式火葬車を製造する企業は、商品の販売促進のためのキャンペーンを大々的に行っているのだ。しっかりした管理がなされていなければ、これは犯罪の道具にされかねない。この事態に、人々は不安をつのらせるばかりだ」

李さんは、さらに「近年、学生や若者などの失踪者が大量に出ている。彼らは臓器狩りの被害に遭ったと思われるが、遺体すら見つかっていない。臓器移植の闇産業を支えている邪悪な力が存在するんだ」と不安を露わにした。

また、河南省に住む邵さんは「街中に移動式火葬車が現れるのは、低層に生きる民衆にとって災難だ」と語る。

「この車を見ていると、臓器を抜き取られた子供がここへ放り込まれ、そのまま燃やされて遺体までもきれいに消される光景を、どうしても想像してしまう。しかし、上層の人たちは移植用臓器が必要だという。これは低層民衆にとっての災難だ」

確かに、中国経済が順調に発展していた90年代以降、中産階級以上の比較的裕福な中国人の間では、自身の富裕の象徴として、高価な外国種の犬や猫、珍しい熱帯魚を飼うなどのペットブームがあった。

しかし、中国経済が低迷する現在、にわかに「ペット用火葬車」の需要が増大することは不可解な現象であり、そこに「他の用途」を想像せざるを得ない。

 

中国の街中に現れた「移動式火葬車」。ペット用だと言うが、民衆の懸念は尽きない。(NTD新唐人テレビの報道番組より)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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