中国共産党の最高意思決定機関である政治局常務委員会は、16日に開かれた会議で「中国は新型コロナによる死亡率において世界最低水準を維持し、感染防止・抑制における重大かつ決定的勝利を収めた」と宣言した。
また、習近平国家主席は「中国の防疫対策が、人類の文明史上に奇跡を生み出した」と称賛した。中国国営の新華社通信などが報じた。
中国の習近平政権は昨年12月上旬、これまで強行してきた「ゼロコロナ政策」を唐突に転換し、事実上すべての行動規制を解除した。
この突然過ぎる規制解除によって、それまで隠蔽されてきた患者も含めて、コロナ感染者が爆発的に増えた。病院は医療崩壊に陥り、ウイルス感染による死亡者があふれて火葬場は大混雑した。
そのため、火葬待ちの予約が数か月先まで埋まる地域もあった。どうしても火葬できないため、遺族はやむを得ずそのまま土葬したり、集合住宅の敷地内で遺体を焼くケースもあったほどだ。
この中共政治局常務委員会による「決定的な勝利宣言」について、米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)は18日付の公式ツイッターで「あなたは、これに同意しますか?」と問いかけた。
RFAの問いかけに対し、ネットユーザーから多くの回答が寄せられた。
「なんて恥知らずな」と呆れる意見が圧倒的だった。その一方で「恥知らずということにかけては、確かに人類文明史上の奇跡だ」「2カ月で百万人以上の老人を除去した。そのことにおいては世界記録だ」など、違った意味でなら「同意できる」とするコメントも目立った。
なかには「悪いけど、どうせ俺は人民ではなく、ただの人鉱だ。意見をいう立場にはないよ」というコメントもあった。
「人鉱」とは、今年初めから、若者の間で「自嘲的」に使われ、流行したネット用語。人間を鉱山から採掘した鉄鉱石や石炭のように扱うことを指し、生命や財産、臓器までも含めて、すべてが搾取されてしまう庶民の喩(たと)えである。
中国共産党の「為人民服務(人民に奉仕する)」は、最も有名な政治スローガンとして知られている。
これに対して「自分は(党が奉仕するに値する)人民ではなく、ただの人鉱だ」というコメントは、まさしく今の中国社会の闇を浮き彫りにするとともに、民衆の絶望感を表した言葉と言えるだろう。
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