ハンガリーの首都ブダペストのカラーチョニ・ゲルゲイ(Karacsony Gergely)市長は6月2日、同市にある中国復旦大学の分校キャンパス予定地周辺の道路名を「自由な香港通り」などに変更し、中国共産党による人権問題に注目するよう呼びかけた。
ロイター通信などによると、野党「ハンガリーのための対話」に属するゲルゲイ市長はキャンパス予定地周辺の複数の通りをチベット、香港などに関連する「ダライ・ラマ(Dalai Lama)通り」「ウイグル殉教者の通り(Uighur Martyrs’ Road)」「自由な香港通り」に改称した。中国で投獄された一人のカトリック主教に関連した通り名もあると報道されている。
道路改称について、在ハンガリー中国大使館はロイター通信の取材に応じなかった。
ブダペストにおける復旦大学の海外キャンパス設置が実現すれば、中国の高等教育機関として初めての海外進出となる。500人の教員が常駐し、教養教育、医学、ビジネス、工学などの分野で6000人の学生が収容できる修士課程を設置する予定だ。
内部流出文書を報じたAFP通信によれば、キャンパス建設費は推計15億ユーロ(約2000億円)とされ、中国はそのうち13億ユーロ(約1700億円)を捻出するという。
この計画は、ハンガリーの与野党双方から激しい批判を受けている。中国共産党によるプロパガンダの拡散に利用される可能性があるとして、国家安全保障上の脅威になるのではないかと危惧する声もある。
リベラル派の国内シンクタンク「Republikon Institute」が6月2日に発表した世論調査によると、ハンガリー人の66%が復旦大学キャンパス建設に反対し、27%が支持している。
キャンパス建設計画はオルバン・ビクトル(Orban Viktor)政権が強行したとされ、ゲルゲイ市長は同計画が中国による買収計画だと批判している。
オルバン政権は中国共産党寄りの政権とされる。中国から21億ドル(約2300億円)の融資を受けてブダペストとベルグラードを結ぶ鉄道の再建計画を受け入れたため、EUに承認されていない中国製のコロナウイルスワクチンを早急に承認した。また、ハンガリーは香港の人権状況を非難する共同文書に同意しなかった。
(翻訳編集・佐渡道世)
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