10月27日、中国共産党第六回中央委員会第六回全体会議(六中全会)終了後、習近平党総書記に「核心」の称号が授けられたと発表された。「核心」とは、日本語と同じ「核心」の意味のほか、中心、中核、コア、といった意味を持つ。米紙ニューヨークタイムズは4つの視点から、「習核心」が習近平氏と中国の政治の将来に与える意義を検証した。
習氏が「核心」の称号を授けられたことは特筆すべきことか?
同紙では明確に「特筆すべき件」と論じている。
この称号が授けられたことによって習氏に特別な権限が与えられたわけではないが、習氏が特別な地位にあること自体が、周囲に対し、習氏に敵対してはならないとの意味を込めた「警告のシグナル」となる。
つまり、「習核心」の称号の授与は、党内の権威を高め、習氏が様々な政策を進める際に直面する周囲からの疑念や実施の遅延といった障害を減らすことを目的としていると同紙は分析している。
この称号の授与は、習氏の影響力が毛沢東や鄧小平に比肩することを示しているのか?
この疑問については、同紙は全面的に否定している。
「習近平は凄腕の素晴らしい指導者だが、毛沢東、鄧小平とはやり方が異なる。毛、鄧両氏は数十年に渡る戦争と権力闘争によって、自らの権威をより一層強めていった。だが習主席は、様々な規則や制度を新設あるいは改訂することによって、自分の権威を高めていった」
どうして今この時期を選択したのか?
中国は現在、深刻な経済問題に直面し外交政策でも圧力を受けているが、こうした困難を乗り越えるために、中国は非常にパワフルな「核心指導者」を必要としている、と答えの一つとして取り上げた。
また、「習核心」の確立は、習氏が腐敗撲滅運動を続行させ、体制改革を推進するための支えとなるはずだとも分析している。
例えば、習氏はこれまでの慣例を打破し、後継者の指名を遅らせるか、共産党の最高権力機関である政治局常委会の不文律となっている退職規則を改正する可能性があるとも指摘している。
どういった動向に注意を払うべきか
文中では、習氏が如何に勢力を伸ばすか、そしてそれに抵抗する勢力が如何に動くかに大いに注意を払うべきだと論じている。例えば、中国政治の中枢である共産党中央政治局とその常務委員会のメンバーになる可能性が非常に高い省市のポストに異動される高官の人選、また、省級のトップが「習核心」に対する態度といったことに注意を払う必要がある。
最後に、習氏の大きな権力が、エリート階級から反発をくらう可能性があるかという点について、同紙は「これまで、エリート階級内部には異議を唱える者は存在しなかった」としている。
(翻訳編集・島津彰浩)