【大紀元日本11月30日】中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は28日、国家信訪(陳情)局の許傑・副局長は「紀律・法律を厳重に違反した」として、取り調べを始めたと発表した。同日に記者会見を行い、数十年続いてきた陳情制度を段階的に見直しすると宣言した。一方、人権活動家らは「問題の解決につながらない」と懐疑的な見方を示している。
国家陳情局は民衆からの異議申立てを受け付ける中央機関で、許副局長は局長に次ぐナンバー2。規律違反の具体的な内容について、中紀委の説明はない。
当局の発表では、国家陳情局が今年1月~10月までに受理した陳情案件は600万件を超えた。解決した数は明かされていない。
指導部は国家陳情局に直訴する人数に基づいて地方政府を評価しているため、地方政府はさまざまな暴力的な手段で直訴行為を阻止している。法外な「闇監獄」を設けて拿捕した直訴者を監禁、脅迫、拷問するなど、官民の対立をいっそう激化させてきた。専門家の話では、国家陳情局の幹部に賄賂を渡し、案件をもみ消させるのも常套手段だという。
河北省邢台市に住む趙敏さんは、16年前に息子を殺した犯人の逮捕を求めるため、15年間陳情を続けてきた。彼女はAP通信の取材に対し「最大限の努力を尽くしたが、誰一人として法的裁きを受けていない」と無念さをあらわにした。
今年7月、車椅子に乗る男性・翼中星は北京首都国際空港で手製の爆発物を起爆させ、警備員一人に軽傷を負わせた。「城管(当局の治安要員)に暴行されて身体障害者になった」と訴える翼氏は10年間陳情してきたが、一向に取り合ってもらえなかったため、極端な抗議手段をとったという。この爆発事件でさらに片手を失った彼に最近、懲役6年の実刑判決が言い渡された。
中国国内在住の人権活動家・黄_qii_氏によると、7割の陳情案件は地方政府による土地の強制収用や家屋の強制立ち退きに関連している。
同日に行われた国家陳情局の記者会見で同局の幹部は、今後、従来の陳情制度の見直しを発表し「もっと多くの案件を裁判所に移行する」との解決策を示した。
地方政府の「闇監獄」問題を追究する記者の質問に対して、国家陳情局の李皐・副主任は、「通常の陳情を行う人の権利は完全に守られている」と曖昧な説明で応対した。
AP通信の取材に対して、黄氏は「状況の改善につながらない」と解決策の実効性を疑った。「司法の独立性がない上、汚職幹部がかばい合うため、たとえ事実関係が明白でも責任の追及は机上の空論だ」と切り捨てた。
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