【大紀元日本10月11日】中国社会科学院(略称:社科院)は8日、中国金融システムの一大問題としている「影の銀行」に関する調査報告書で、2012年末に、その規模は国内総生産(GDP)の40%を占めていると発表した。一方、米格付け大手はその規模はもっと大きいと警告した。
中国の影の銀行は主に、信託会社(ノンバンク)、ファンド、貸金業者、質屋などが該当する。
中国の投資家は高利回りの資産運用商品を好むため、近年、信託会社の「信託商品」や「理財商品」が人気を集めている。その結果、影の銀行が急速に拡大しており、集めた資金の運用先は、主に地方当局の不動産やインフラ投資である。それにより、地方当局の負債が拡大する一方で、債務リスクが高まっている。
また、金利の規制を受けない影の銀行では、信用リスクの大きい企業でも高金利なら資金の調達が可能。そのため、通常の銀行融資を受けられない企業は、影の銀行から融資を受けるケースが多い。特に不動産会社などにとっては、影の銀行の融資はその生命線とも言える。
金融当局による監視の目が行き届いていない上、デフォルト(債務不履行)になった場合、利害関係者の誰が損失を負担するのかは曖昧で、専門家らはそのことを問題視している。 ウォール・ストリート・ジャーナルの中国語サイトは専門家の意見として、「影の銀行は、経営不振に陥った企業の延命及び不動産バブルを維持しており、中国の持続的な経済発展に大きく貢献してきた。その規模の拡大を放置すれば、金融不安を招きかねない」と評した。
社科院の8日の報告書は、2012年末までに、影の銀行の規模は20.5兆元(約328兆円)、国民総生産の40%を占めているとしている。
国際研究機関の統計に比べて、社科院の調査結果はまだ楽観的である。
米格付け大手のムーディーズ・インベスターズによると、影の銀行の規模は2012年末には4兆7000億ドルに膨らみ、中国の国内総生産(GDP)の55%に達した。
大手格付会社フィッチ・レーティングスの今年の発表によれば、影の銀行の融資をも含めて、中国の融資規模はGDPの198%に相当する。
ウォール・ストリート・ジャーナルの中国語サイトは「中国政府も影の銀行の規模を把握できておらず、その拡大を抑制できない」と問題の重大さを示唆した。
今年6月、中国の各銀行で深刻な資金不足(銭荒)が生じた際に、中国人民銀行(中央銀行)は暴走する融資を抑制するため、公開市場操作を通して流動性の調整を全くしなかった。専門家は「中央銀行が行動を起こさないのは、中央政府からの警告だ」とみている。
社科院の同報告書は、影の銀行が招くリスクは銀行融資を監督・管理する政策を失効させ、システム全体にリスクが生じる、と分析した。
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