中国減速が本格化 2012年「極めて複雑で挑戦的」

2012/01/18
更新: 2012/01/18

【大紀元日本1月18日】中国経済成長の減速が本格化している。国家統計局の17日の発表によると、2011年第4四半期(10~12月期)の国内総生産(GDP)成長率は8.9%で、4四半期連続で鈍化した。また、2011年通年のGDP成長率は前年の10.4%から9.2%に低下し、1桁成長に止まった。この減速傾向は2012年でさらに顕著になると市場はみている。

17日に発表されたデータでは、2011年のGDP成長率は第1四半期の9.7%に続き、第2四半期の9.5%、第3四半期の9、1%、そして今回発表された8.9%と、減速傾向が明らかに示された。

2012年の中国経済の成長率について、中国国務院発展研究センターは8.5%と予測しているに対し、市場では7%近くまで落ち込むとの見方が大勢である。

「2012年は国際経済環境にしても、国内状況にしても、極めて複雑で挑戦的である。強い危機感を持たなければならない」。17日に記者会見した中国国家統計局の馬建堂局長はこのように述べた。

その国際経済環境について、馬局長は「欧州債務危機は膨らみ続け、拡散している」と欧州危機を成長鈍化の理由に挙げた。

欧州は中国にとって最大の輸出市場だ。中国の輸出全体に占めるEU向けのシェアは20%と大きい、しかしながらその伸び率は昨年9月以降、10%以下に急減速している。昨年12月の調査でも、中国の輸出企業の66%は欧州危機後、欧州向け輸出が減少していると答えている。中国国内の金融引き締め策で、企業資金の動きが鈍っているところを欧州危機が直撃したようだ。

国内状況の厳しさについて、米ワシントン・ポスト紙は中国経済をけん引してきた不動産市場と政府投資に懸念を示した。「不動産は中国経済の13%を占めており、近年では年間28%の成長を遂げている。多くのアナリストはこの成長は持続不能と見ている」。不動産価格の高騰で、地方政府は土地を抵当として、あるいは土地売却で得た資金を大規模な投資を行う。「これは米国や欧州の債務危機の仕組みに似ている」と同紙は指摘。「インフラやビル建設に巨額投資をした地方政府はその資金を回収できない恐れが高く、長期的には息切れしてしまう」と悲観視している。

また、今回の国家統計局の発表では、2011年の年間消費者物価指数(CPI)上昇率は5.4%で、政府目標の4%を大きく上回った。この中、生活に直に響く食品価格の上昇はいちだんと顕著で、前年比11.8%上昇している。

成長確保とインフレ抑制というジレンマ。中国政府が突き付けられた難しい舵取りについて、国家統計局の馬局長も17日の記者会見の後、最大の課題は「成長の維持と物価の安定、経済改革の継続の間でバランスを図っていくこと」との認識を示した。温家宝首相は1月初めの地方視察でも、「市場はかなり冷え込んでいる」とし、「経済の下振れ圧力と物価の高止まりが並存している」と認めている。

経済成長の鈍化はすでに社会不安を引き起こしている。昨年末、広東省では賃金不払いや人員削減などに対する抗議活動が頻発し、労使紛争が点から線への広がりを見せている。経済の低迷に触発されるこれらの問題は、今年交代にさしかかる中国の指導部にとって、権力闘争の火種ともなりかねぬ、そのゆえ、政権を揺るがしかねない難題ともなっている。

(張凛音)
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