「蓬莱19-3」原油流出事故 専門家は海産物汚染を指摘

2011/09/08
更新: 2011/09/08

【大紀元日本9月8日】中国最大の海上油田、渤海「蓬莱19-3」で6月から続いている原油流出事故を受け、中国国家海洋局は2日、「点検とせき止めが不十分」を理由に、作業を担当する米コノコフィリップスの中国現地法人「康菲石油中国」に操業停止命令を出した。

一方、8月31日の海洋局の発表によると、流出が最初に発生した6月4日から現在までの間、原油の流出面積は少なくとも5500平方キロメートルに及んでいる。「蓬莱19-3」付近では海水に含まれる石油類物質の平均濃度は通常の40.5倍、もっとも高いところでは86.4倍に達しているという。

1日付の国内紙・科技日報は、中国環境科学研究院の趙章元氏のコメントとして、今回の原油流出事故の処理に最適な時期はすでに過ぎていると指摘した。このような広範囲に及ぶ汚染は数千トン、数万トンの原油が渤海に流出したためで、必然的に渤海の海洋生態系に長期的な悪影響を及ぼし、回復には数年かかるという。

石油は数種類の炭化水素混合物から構成されており、この炭化水素には有害で強い発がん物質があることが知られている。流出した原油は魚類、藻類などの海産物を通じて食物連鎖に入り込むことから、「最低1年間は原油流出が起きた海域の海産物は食べないように」と趙氏は述べている。

山東大学海洋学院の王亜民准教授は、今回の原油流出はアザラシや海鳥に及ぼす影響が大きく、魚をとるために海中に入った海鳥は原油により羽毛の防水層を破壊され、海面から飛び立てなくなっていると話す。

国家海洋局北海環境観測センター研究員の崔文林氏によると、事故処理の過程で回収された原油はごく一部で、それ以外は海水に溶け込んだり、海底に沈殿したりしているという。また、海洋環境に存在する流出した原油や、その処理に使用される油処理剤は浮遊生物の生存と成長に影響を及ぼす。この連鎖の中で浮遊生物を捕食する動物も巻き添えになり、海底に生息する生物も汚染を受けるという。

(翻訳編集・坂本)