グーグル、米議員・人権団体が支持 急がれる「世界ネット自由法案」の可決

2010/01/19
更新: 2010/01/19

【大紀元日本1月19日】中国当局のネット検閲の要求に協力しないと宣言したグーグルの決定に、米国会議員や人権団体が14日、国会前で記者会見を開き、グーグルへのサポートを訴えた。一方、中国や独裁国家でのネット上の自由を支援する「世界ネット自由法案」の米議会での議論が急がれ、15日から下院での投票が始まっている。

「グーグル、ヤフー、マイクロソフトなどの企業は今ようやく、中国当局によるネット検閲に対する協力が、同国の人権弾圧を深刻化させていることを認識した」と記者会見発起者のスミス議員は語った。

スミス議員によると、4年前「インターネットは中国において、自由のツールか迫害のツールか」と題する公聴会を開き、グーグル、ヤフー、マイクロソフトなどのIT大手を招いた。グーグルは当時、ユーザーの個人資料を中国のネット警察に渡す場合、どのようなユーザーに対して悪い結果を招くのか、確信していなかった。現在のグーグル社の変化から、これらのIT企業はすでに中国の人権迫害の状況を十分に認識しているとスミス議員は話す。

グーグルのほか、ヤフーは2005年に、ジャーナリスト・師濤氏の個人情報を中国当局に提供した。後に、それが証拠となり、同氏には10年の懲役刑が科せられた。2007年からは、ヤフーは中国当局によるネット検閲対策として、顧客の個人情報を国外で保管し、ネット検閲の被害者には補償金を支払うなどしているという。

グーグルやヤフーなどのIT企業の力だけでは、中国共産党当局に対抗できないが、米国政府はこれらの企業をバックアップすると同議員は語る。

スミス議員は2006年に、インターネット上の自由を守る「世界ネット自由法案」を起草した。同法案は、米IT企業が中国当局から、ネット利用者の個人情報の提供を強要された場合、事実を米国司法長官に報告する義務などを定めている。今回のグーグル事件を受け、米議会で15日、同法案に対する投票が始まった。

「中国民主運動の父」と称されている米国在住の民主活動家・魏京生氏は記者会見で、「今回のグーグル事件が一つの現象を露呈した。すなわち、これらの欧米企業は独裁政権の圧力と経済利益の誘惑に負け、道徳の最低基準をさらに下げ続けてきたが、ついに限界を超え、反抗にでた。言論の自由は法律で守られるべきだ。米議会が同法案を可決することを強く望む」と述べた。

記者会見に出席したサウスカロライナ州のイングリス議員は、中国ネット検閲の被害実例を挙げて実態を説明した。それによると、2007年11月27日、当時上海市在住の陸静(ルー・ジン)さんは、当局のネット封鎖を突破して、国外の法輪功サイトの情報をダウンロードしたため、懲役3年半を科せられた。

グーグルの今回の姿勢は、ネット自由を熱望する数億の中国人利用者に希望をもたらしたと、米下院のウルフ議員は記者会見で評価した。

一方、米ハドソン研究所のホラウィッズ研究員は、マイクロソフト社が最新開発した検索エンジンBingは、中国国内外において当局のネット検閲に協力するバージョンであると非難した。

また、今回の米議会の公聴会には、国境なき記者団や、アムネスティ・インターナショナルの代表者も証言し、グーグルの姿勢を歓迎すると表した。

一方、欧州委員会のクロス副委員長や、欧州議会の文化教員委員会のパーカ委員長も相次いで、グーグルを支持すると表明。中国におけるネット上の自由促進の重要性を強調した。

(翻訳編集・叶子)